ディスプレイ広告やメール文面などに用いられているABテストは、Webサイトにも有効だ。ただし、実践する企業側に一定の仮説があり、それを元に展開する形でないと、高い成果を得るのは難しい。富士フイルムは、2016年の写真年賀状申し込みサイトにて、OptimizelyのABテストを導入。イー・エージェンシーとともに運用した結果、トップページでは300.9%ものコンバージョン改善が見られた。この知見を化粧品など他の事業へも展開し、また自社サイトのリニューアルにも活かしていく意向だ。
富士フイルムのデジタルマーケティング体制
押久保:細かくPDCAを回して成果を積み上げていくABテストの手法を、富士フイルムのような大手企業が、年賀状申し込みサイトで試されたというのは少し意外でした。一色さんはe戦略推進室という部署にいらっしゃいますが、これまでのご経歴と、この部署の役割を教えていただけますか?
株式会社イー・エージェンシー 取締役 野口竜司氏(写真左)
一色:私は入社して以来、写真事業やカメラ製品の国内マーケティングを長く担当してきました。2年前にe戦略推進室に異動して、全社的な横断組織として、各事業部のデジタル施策を支援しています。部署は3グループに分かれていて、私が管轄しているマーケティンググループのほかに、公式サイトを管轄するブランディンググループと、カメラなどのハード製品の会員組織を管轄するコミュニケーショングループがあります。
押久保:御社は、コンシューマー向けには写真やプリント事業に加えて、近年は化粧品事業も軌道に乗っていますが、BtoB事業も厚いですよね?
一色:そうですね、メディカルやグラフィック部門などを中心にBtoBの会社になりつつあります。我々は事業部をまたいでデジタル施策を支援しているので、たとえば今回のようなBtoC事業で見出した知見をBtoBへ、あるいはグローバルへ応用することも視野に入れています。
ハウスエージェンシーの常駐スタッフも数名おり、今回のようなツール導入などは代理店を介さず、直接行っています。
可能性のあるツールや施策はまず試し、見極める
押久保:なるほど、完全にインハウスでハンドリングできる体制になっているんですね。では、今回の年賀状の事例についてうかがっていきますが、そもそもどういった経緯でOptimizelyを年賀状サイトに導入することになったのでしょうか?
一色:この領域は進化が速く、ツールも次々と登場するので、“食わず嫌い”をせずにとにかく試して、いいものを取り入れていこうと考えています。自分でもなるべく情報収集をしつつ、部下にもセミナーなどにどんどん参加するように促しているんです。
その中でABテストの有用性を知り、Optimizelyなど具体的なツールを検討していました。セミナーを通して野口さんのことは存じ上げていたので、はじめは、前回の刷新から5年経っている公式サイトのリニューアルにABテストを組み込めないかを相談したんです。
押久保:そうだったんですね。
一色:ただ、公式サイトの刷新は当社としても大きな取り組みになるので、少し時間がかかります。また、野口さんから、公式サイトも昔ながらの“大リニューアル”ではなく、部分的に変えていって成果を確かめながら進めるほうがいい、というアドバイスもありました。
それなら、我々がOptimizelyに慣れる点でも社内の説得のためにも、まず何らかのABテストによる成果があったほうがいいだろうと、ちょうどローンチを控えていた「富士フイルムの年賀状2016」で導入することにしたのです。
野口:最初にお話してから実施のジャッジまで、ものすごく早かったですね。そのスピードには驚きました。
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高島 知子(タカシマ トモコ)
フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。
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