動画広告やSNSなどMarin適用範囲の拡大を目指す
では、「Web広告の正しい運用」についてはどうか。
「入札戦略に関して、代理店と相談しながら進められるようになりました。また、打ち合わせの頻度は変わりませんが、以前のような『数値の報告会』ではなく、事前に数値を確認しているので、どのように今後の改善・増加につなげていくか、というような戦略ベースで進められるようになりました」(渡邊氏)
Marinを導入したことで問題点を自動で指摘してくれ、レポートも出してくれるようになった。入札に関しては自動で調整してくれるので、運用の手間は格段に減り、代わりに代理店と協力し合いながら戦略的に進められるようになったのだ。「そのため、戦略を考える時間がない、現状がわからないという逃げが通用しなくなりましたね」(高木氏)
「運用は、Marinが完全にサポートしているため、ほかに獲得が取れるワードがないかなど、新しいことを見つけるための時間が毎日取れるようになりました」と渡邊氏。両氏共に満足気な表情を見せる。
では、代理店に委託する業務内容やコストに変化はあったのか。サービスによる違いはあるが、サービスによっては月間コストが約30%削減できたそうだ。
もちろん高木氏は、「何が何でもコストを削減することが正解とは思わない」というスタンスをとる。「現場の課題解決を含め、当社が目指したことは、『広告運用に関し、あらゆる業務を細分化した上で、その業務一つひとつについて価値付けをしていくこと』です。
なぜなら、コスト感覚を育てながら、委託する部分に関しては『何に対して、いくらの対価を払って、どのような成果を受け取るのか』という意識を持つことができるからです。これにより、広告運用の戦術にはまらず、上位の戦略に目を向けられます。そのためには統合的に広告戦略を捉えられるツールが必要でした。決して、ツールを導入して楽をしようという考えではありません」(高木氏)
DMM.comは挑戦を続ける
これからも挑戦を続けていくと語る高木氏。具体的には2つの取り組みを考えている。ひとつは、リスティングだけでなくSEOやブランディング広告など、全体的な視点で広告戦略を考えられる人材を育てていくこと。もうひとつは、今後さらに拡大すると予想される動画広告への対応や、Facebook・TwitterなどSNSチャネルを使った集客・マネタイズのプロセスを構築することだ。
これに対しワース氏は「ソーシャル広告管理プラットフォームであるMarin SocialでのFacebook、Instagram、Twitterでのソーシャル広告やそれぞれでの動画広告への対応を始め、データフィードを活用したGoogleショッピングキャンペーンとFacebookダイナミックプロダクト広告との同期機能、サーチキーワードを使ったソーシャル広告でのリターゲティングなどを現在提供しているが、今後さらにあらゆる媒体に適した広告フォーマットの入稿サポートなど、あらゆる局面でユーザーの支援を行えるよう、これからも開発を進めていく」と前置きし、次のように語る。
「Web広告はさまざまなフォーマットやチャネル、プラットフォームがあり、非常に複雑なものとなっています。これにより、マーケターが年々疲弊していく状態は否めません。MarinSoftwareは、高木さんが仰るように、クロスチャネル・クロスプラットフォームへのさらなる対応を進め、全体を横串で捉えて戦略的マーケターを育てるための支援を続けていきます。また、グローバル企業との協業で培ったノウハウという価値を提供し、DMM.comのような日本のビジョナリーカンパニーのパートナーとして、あらゆる課題を解決していきます」(ワース氏)
挑戦を続けるDMM.comと、それを下支えするMarin。両者のチームワークが今後もビジネスを加速させていく。