購入を後押しする動画だから、長期的にじわじわ再生される事が大事
Viibar:この動画の制作前には、どのような目標設定をされていたのでしょうか。
ローランド:先ほど少し言及したように、今回の動画に関しては、ロングスパンでオーガニックに視聴されることを目指しています。製品訴求が入ってないので古くならないですし、エイトビートはこの先300年たっても変わらない基礎ですから。そういった意味で、KPIとしては長期的に、ゆっくりでも再生回数が伸び続けていくことが重要だと思っています。
逆に言うと、今回は動画を見て、「俺ドラムやりたいかも」と思ってもらうプロモーションを狙ったものではないということです。Viibarさんが提唱されている動画活用戦略モデル「SHHIP」でいうと、今回の動画は視聴者を楽しませるコンテンツを提供するStar動画や、商品認知・関心の向上を図るInsert動画ではなく、視聴者に役に立つ情報を提供するHelp動画や、購入の後押しをするPersuasion動画という位置づけになります。
数万人に動画広告を出して認知をしてもらう事と、購入直前の500~600人に後押しする事で売上をあげる事は、ファネルを考えると同じようなインパクトをもたらすと思うんです。

また、今回の動画については単発で評価するというよりも、これから行う様々なマーケティング施策の中にこのコンテンツを活用していく、というスコープで考えています。「こういうカスタマージャーニーの人には、ここで動画を見ていただきましょう」というように、マーケティングのパーツとして継続的に活用するイメージです。
あと、動画の内容に関するKPIについても気にしています。つまり、何秒で離脱しているのか、といった情報ですね。「今回ここはこういう風に編集したから、数字が下がっているのかもしれない」というような仮説を持って、次に活かしたいと思っています。トークが長すぎて飽きられたとか、テロップ入れたら少し伸びたとか、そういった情報は今後も活かせる部分が多いと感じているところです。
動画コンテンツで購入後のドラムライフもサポートしたい
Viibar:今回の動画企画の続きはお考えになっていますか。
ローランド:はい、今回の動画シリーズの上級編を考えています。今回の動画は、ドラムライフをサポートする色々なコンテンツが用意されている、という安心感を訴求する施策の一つでもあるので、「お客さま、ここまで上手くなったのなら、こういう事も出来るんじゃないですか? もっと楽しめますよ」というような情報発信を行うイメージです。

言い換えれば、「メーカーが購入後もずっと接客してくれる」ような状況を動画コンテンツで実現したいと思っています。なので、今回の動画は、かなり長いスパンの施策の始まりなんです。
クラウドソーシングの多様性が、ブランドに新たなイメージをもたらす
Viibar:Viibarを知っていただいたきっかけを教えて下さい。
ローランド:2014年ぐらいにViibarさんがイベントに出展されていて「クラウドソーシングで動画が作れます」と聞きました。その後も継続的に「こんなメニューがあります」というご紹介をいただいていたので、「新しい試みをやってみよう」という今回の動画企画の折にViibarさんを利用することを思いつきました。
予算も限られた中でしたが、営業の方と話していく中で条件が合いそうだと感じた事と、スピード感のある対応が期待できた事、また今までのローランドのテイストではない新しい表現が出来そうだと感じたので、最終的にお任せすることにしました。Viibarさんdと出会えたのは本当にいいタイミングだったと思います。
Viibar:従来とは違う表現のクリエイティブを作ろうと思われたのは何故でしょうか。
ローランド:クリエイティブ制作は、制作者との付き合いが長くなればなるほど、あうんの呼吸で進んでいく部分があります。しかし、それではいつも同じような予定調和のものばかりが出来てしまう。実はローランドはここ数年、「アンリーシュUnleash」(開放する、解き放つ)というブランドテーマを新たに掲げ、Webサイトのリニューアルを行うなど、イメージ転換のブランディングに力をいれています。
その流れがあるので、動画クリエイティブについても、「新しい風を入れてみたい、そしてどういった新しい表現が生まれるのかトライしてみたい」と思ったんです。既にたくさん動画を作っているので、従来の表現だと視聴者の目が慣れてきていると思いますし、ローランドちょっと変わったぞ、と関心を引きたかったという狙いもあります。
Viibar:なるほど。Viibarを使って新しいクリエイターとマッチングした結果、従来にない表現は生まれましたか。
ローランド:そう思います。今回の動画に関しては、例えば動画の色合いや質感が、これまでなかった雰囲気に仕上がったと感じています。もちろん、こちらからもある程度ローランドらしさをディレクションしましたが、そこに新しいクリエイターさんのクリエイティブマインドが混ざって、ローランドらしさを残しながらも新しい要素を入れた良い作品が出来たんじゃないか、と思っています。