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オイシックスが語る、真の顧客視点に基づいたコミュニケーション設計~カスタマージャーニーに潜む落とし穴

カスタマージャーニーで成し得ないコミュニケーション設計を

 「ユーザーごとに情報を受け取りたいチャネルは異なる」「ユーザーごとに情報に対する受け取り方が異なる」ということを前提に置いたとき、北村氏は「顧客視点のクロスチャネル活用を実現するためには、カスタマージャーニーの設計は必ずしも適切な手段ではない」と語る。

 なぜなら、チャネルの多様化と情報に対する受け取り方の違いを考慮しようとした場合、カスタマージャーニーの数は膨大になる。それを完全に網羅しマニュアルで設計に落とし込むのは事実上不可能だからだ。結果として「企業都合の限定的なシナリオの設計にとどまっている。そのコミュニケーションは真の顧客視点とはいえない。」と北村氏は説明した。

 米島氏は北村氏の言及を受けて、「弊社では非常にシンプルな方法で顧客視点のコミュニケーション設計を実現しようと考えている」と語った。その方法とは、顧客が情報の種類に応じて受け取るチャネルを自ら選べるようにするというものだ。これが「顧客とチャネルを結びつける」アプローチである。

 例えば、締切り通知に関しては重要度が高いためLINEでほしい、新製品情報に関しては、たまに見る程度で良いのでメールでほしいなど、自らの情報取得のスタイルを選ぶことができる環境だ。具体的には、下記図のように、配信コンテンツに複数チャネルを対応させ、ユーザーが選択できるようにするという展望がある。

コミュニケーション設計時に注意すべき3つのポイント

 では、顧客とチャネルを結びつけるアプローチと、カスタマージャーニーに基づいたシナリオ設計では何が違うのか。北村氏は以下の3点を挙げた。

1.企業視点ではなく、真の顧客視点である点

 カスタマージャーニーが企業側の仮説に基づいたものだとすると、それが顧客にとって最適とは必ずしもいえない。一方、顧客とチャネルを結びつけるアプローチは、お客様側の意向に沿った柔軟な対応ができ、完全に顧客視点といえる。

2.実現性が高いという点

 企業側が顧客毎にカスタマージャーニーに基づく「シナリオ」を用意するのには膨大なリソースと工数がかかる。一方で、このアプローチにおいては、顧客が情報取得方法を選べる「環境」を用意すれば良い。CCMPであれば容易に構築可能だ。

3.顧客と長期的なコミュニケーションが可能になるという点

 初期の取り組みとして、できるだけ多くの顧客をさまざまなチャネルと紐付けられるようにしておくというのは、その後さまざまなシナリオに活かすことが可能になり、結果的に長期的な効果につながる。

 「ユーザーに情報を取得するチャネルを選ばせた方が、設計しやすく、具体的なニーズがわかるため実運用に落とし込みやすい。何より、顧客の意思を元に配信するため、真の顧客視点といえるのではないでしょうか」(北村氏)

 北村氏によれば、その中でも特に様々なチャネルで顧客とつながっている状態を作ることが重要だという。例えば、メールのみでユーザーとつながっていたとしても、今後顧客がメールを使わなくなるかもしれない。複数チャネルで顧客接点を作っておけば、特定のチャネルで情報を届けられなくなっても、つながりを保つことができる。

 「個別のキャンペーンシナリオを洗練させていくことと並行して、顧客とチャネルの紐付けをどの程度進められるかがMA活用における重要なカギとなる」と北村氏は語り、講演を締めくくった。

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この記事の著者

伊藤 真美(イトウマミ)

フリーランスのエディター&ライター。もともとは絵本の編集からスタートし、雑誌、企業出版物、PRやプロモーションツールの製作などを経て独立。ビジネス系を中心に、カタログやWebサイト、広報誌まで、メディアを問わずコンテンツディレクションを行っている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2016/10/13 12:00 https://markezine.jp/article/detail/25262

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