3つのコンバージョンポイントから見えてきた、良質ユーザー層
マンガワンでは、マルチコンバージョン™機能を使って3つの時点の計測を行っている。基本となるインストールと、特典として初回限定無料としている100話閲覧、そして最終的にいくら課金されたか、だ。「異なるコンバージョンポイントを観測することで、従来の認識が大きく変わった」と友野氏は語る。
インストールだけで効果を見ていたときは、女性向け作品を使ったクリエイティブはCPIが低く、効率的に新規ユーザーを獲得できているという評価だった。しかし、100話閲覧を確認すると、多くが離脱していることがわかった。そこで、並行して別作品のクリエイティブを男性向けのメディアへ配信したところ、そこから流入したユーザーは100話閲覧まで到達する割合がかなり多いことがわかったという。
「これまでと同じCPIベースだけで運用していたら、離脱しやすい女性ばかりにアプローチし続けることになっていたかと思います。マルチコンバージョン™機能によって、本当にサービスを使ってくれるお客様が増えたわけです。サービスの成長を考えても、この変化は非常に大きい」(友野氏)
この、女性向けよりも男性向けの方が効果的だという結果は、開始から1ヶ月未満で出たという。現在は、女性ユーザーへの広告展開を継続しつつ、男性ユーザーをどれだけ拡大できるかテストをしているところだ。
成功のカギは自社サービスの特性と、最終的なゴールの理解
ここで、アプリプロモーションにおいて注意すべきところは何か、両氏に聞いた。
「結局、広告効果はROIやROASが見合うかどうかなので、そこをしっかりウォッチすることですね。また、nendさんとのやりとりで発見したことは、CPIが高くても、その後の登録率が良くて会員登録単価が見合えば、運用する価値はあるということ。やはり最終的なゴールを見据えて調整することが大切ですね」(本坊氏)
「やはり、自社サービスの特性を理解して、求める指標に対して最適なコンバージョンポイントを設計することでしょうか。今、我々は100話閲覧という深めの計測ポイントにしているので、遅い場合は2週間ほどかかり、PDCAを回すのに時間がかかってしまいます。例えば、これを1日のリレーションで見るのでも良いのかな、と。サービスによって差が出てくる部分でもあるので、結果が見えるまでの期間を短くするのも重要だと思います」(友野氏)
最後に、今後nendを通して、どのような取り組みを行っていくのかを訪ねたところ、友野氏は新規獲得だけではなく、リテンション施策への意欲を語る。「nendさんとのやりとりは、とてもスムーズだし丁寧です。やりやすい相手と一緒に取り組むのが、結局Win-Winにつながると思っているので、これからもパートナーとしていろいろお願いしたいです」(友野氏)
本坊氏は同じくリテンションや継続率に関する取り組みの他に、マルチコンバージョン™機能について、現在は会員登録まで追っているところを、アプリを起動しているかどうかも見ていきたいと語る。「さらにクリエイティブも、今は価格訴求しているケースが多いのですが、今後は“かわいくなれる”など、よりブランディングを意識して体験を訴求するものを試していきたいですね」(本坊氏)
今回のインタビューを通し、よりビジネスの本質に近いKPIをウォッチしつつ、新たな施策へのチャレンジを継続的に行うことがアプリプロモーションの最短ルートだと、基本的なことの重要性を改めて認識させられた読者も多いのではないだろうか。nendのマルチコンバージョン™機能を活用し、新規とリテンションの両軸で指標、戦略を立てる両社のこれからの展開も注目したい。