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第106号(2024年10月号)
特集「令和時代のシニアマーケティング」

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転換期におけるデジタルマーケティング(AD)

ゲームのルールが変わる中、生き残るカギは“ユーザープロファイルデータ”の活用にあり

 日本の人口は2004年をピークに急減。さらに消費者ニーズは多様化する傾向にあり、それぞれのニーズに合った打ち手を講じていく必要がある。マーケターにとって悩ましい未来が待ち受けているわけだが、そのようにマーケットが変化する中、どのような対策がとれるのか。最大手の広告効果計測ツール「アドエビス」を開発する株式会社ロックオンの岩田進氏にマーケットの現状と未来、将来向けての打開策について聞いた。

30年後も売上維持するためにLTVを35%増やせるか

ロックオン 代表取締役社長 岩田進氏(写真左)翔泳社 MarkeZine編集部 編集長 押久保剛(写真右)
株式会社ロックオン 代表取締役社長 岩田 進氏(写真左)
MarkeZine編集部 編集長 押久保 剛(写真右)

押久保:前回記事では、行動履歴をユーザー軸で捉えることの重要性について聞きました。今回はその延長線上の機能追加ということですが、まず今のマーケットおよび未来をどのように捉えているのか教えてください。ある講演で大局を見据えることで、企業の採るべきマーケティング戦略が見えてくると語られたと聞いています。

岩田:日本社会で進行している少子高齢化による人口減少と消費者ニーズの多様化を踏まえなければ、今後のデジタルマーケティング戦略を正しく組み立てることはできません。

押久保:人口減少とニーズの多様化が、今後のマーケティング戦略を考える鍵となるのですね。

岩田:はい。まずは人口減少のほうから説明しましょう。日本の人口は、2004年にピークの1億2,784万人を迎え、そこから劇的に下降曲線をたどっています。2050年には人口が25%ほど減少し、9515万人になる見通しです。

 このように人口が減少すると、ライフタイムバリュー(LTV)を35%ほど増やさないと、現状の売上を維持できなくなります。飲食店を例として挙げると、これまで1日3食だったお客さんに、もう1食分を食べてもらわなければいけない――そんなのは無理ですよね(笑)。

押久保:なかなか厳しい現実ですね……。

岩田:若年層に限ると、もっと厳しくなります。LTV を2.2倍に増やさないと現状の売上を維持できないでしょう。

ニーズの多様化で縮小する市場がさらに分割

押久保:もう一つ、消費者ニーズの多様化という問題もあります。

岩田:人口の減少で市場全体が縮小するだけでなく、ニーズの多様化によって小さな市場がさらに分割されています。

 企業は細分化された消費者それぞれに対して、細やかな対応を求められるでしょう。きめ細かなコミュニケーションを通じて、一人当たりのLTVを向上させなければならなくなります。しかも、多様化するのは消費者だけではありません。メディアも今以上に多様化していくでしょう。企業が消費者とコミュニケーションする手段は、ますます複雑になるはずです。

 その上、人口減少にともなって企業側の人員も減っていきます。業務は増加・複雑化して、人員は減っていく。このままでは多くの企業が“消費者への対応難”に陥るのではないでしょうか。

マーケティング産業にもロボットを

押久保:マーケターにとっては前途多難な未来が待っているようですね。解決策はあるのでしょうか?

岩田:ロボットによって活路が拓けるのではないかと考えています。現在、自動車、医療、運送、介護、農業、サービスなど、様々な産業でロボットが開発・導入されています。これらの産業に続いて、マーケティング産業でもロボットの開発に力を入れていかないといけません。

押久保:どのようなロボットを想定していますか?

岩田:ロボットには、センサ、知能/制御、駆動という三つの要素があります。

 センサでデータを収集し、蓄積したビッグデータを知能・制御を司るAIで解析して、アルゴリズムに基づき自動で駆動する。これらの機能のうち、どれ一つ欠けてもロボットとは言えません。その中でもマーケティング向けのロボットとして、最も重要なのはセンサ、つまりはデータの収集になるでしょう。

押久保:どんなデータの収集が重要になるのでしょうか?

岩田:データであれば、なんでもいいというわけではありません。今後のマーケティングに欠かせないのは、単なるデータではなくて、ユーザープロファイルのデータつまり、「広告接触・自然検索・サイト来訪」といった行動履歴(トラッキングデータ)と、「年代・性別・地域」といったデモグラフィック情報を組み合わせることが不可欠なのです。

ニーズ多様化に対応するため、重要度を増すユーザープロファイル

押久保:ユーザープロファイルが特に重要な理由を、もう少し説明していただけますか?

岩田:釣りに例えて説明します。従来のマーケティング手法では、海のどこに魚がいるかわからないので、広い場所にえさを大量にまくことで魚に寄ってきてもらっていました。

 しかし、魚の数が少なくなり、さらに魚のえさの好みが多様化すると、単にえさを投げただけではなかなか食いついてくれなくなります。そうなっても、魚の種類(デモグラフィック情報)ごとに居場所と好み(行動履歴)がわかっていれば、魚のいる場所(メディア)にこちらから出向いて、その魚が好きなえさ(広告)を投げれば簡単に釣れるようになるはずです。

 ユーザープロファイルが手に入れば、それと同じことを人間の世界で実行できます。広い場所にえさを大量にまく従来のマーケティング手法を用いる限り、広告内容に既に強い関心のあるターゲットを刈り取ることしかできません。市場規模が縮小することを考えると、これまで食いついてくれなかった消費者のニーズを喚起することも必要になるでしょうから、潜在的なターゲットがいる場所(メディア)を狙って、こちらから積極的にメッセージを届けていくことも重要になるでしょう。

 そこで必要になるのがユーザープロファイルです。たとえば、あるユーザーのデモグラフィック情報と行動履歴を結び付ければ、そのユーザーがどんなメディアを利用しているか、どのメディアで自社広告によく反応してくれたか、といった相性がわかります。そうして将来顧客になり得るユーザーに訴求できるメディアを、より正確に選定できるようになるわけです。

マーケティングロボットの将来像

押久保:ロボットの要素として「アルゴリズムに基づき自動で駆動する」点も挙げていました。マーケティングロボットは具体的にどう「駆動する」ことになりそうでしょうか。

岩田:コンバージョン(CV)から逆引きし、出稿するメディアを自動プランニングしてくれるロボットですね。そういうロボットが誕生すれば、ユーザープロファイルとメディアを紐付けて分析し、最も相性のいいメディアに最もCVを促せる広告を自動で出稿できるようになります。

広告効果計測ツール「アドエビス」がもたらす未来

押久保:CVから逆引きできるというのは、マーケティングの大きなパラダイムシフトになりますね。貴社としてはどの程度、自前で開発する予定なのでしょうか?

岩田:具現化させるためにはAIが必要です。ただ、我々が高水準のAIを次々に開発していけるかというと、難しいでしょう。やるべきではないとも思っています。

 それよりも我々が目指しているのは、サードパーティーのデータと統合したユーザープロファイルのプラットフォームを構築・提供することです。これを各社が構築するのは大変ですし、不可能だとも思います。そこで当社としては今後、ユーザープロファイルプラットフォームを構築してオープン化し、アドエビスのユーザープロファイルを使ったマーケティングソリューションを、サードパーティーが開発できるようにしていきたいと考えています。

 そのための第一歩として、アドエビスにデモグラフィック情報分析機能を加えました。

 この機能を使うことで、CVの有無に関わらず「年代・性別・地域」といったデモグラフィック情報と、「広告・自然検索・サイト回遊」といったWeb上の行動履歴をユーザー単位でつなげて分析することができるようになります。

 自社の広告に反応するユーザーが多いメディアを選定する精度が上がったり、自社サイトから離脱するユーザー属性を分析して離脱防止・再来訪につなげるコンテンツを制作したりといった施策を立案しやすくなるはずです。ぜひ、ご利用ください。

押久保:今後の展開も楽しみですね。期待しています。

「アドエビス(デモグラフィック情報分析機能)」の詳細はこちら

導入ユーザーの声

最後に導入ユーザーの生の声をご紹介します。

TONEモバイル

月額1,000円(税抜)で利用できる、容量無制限の初心者向け格安MVNOサービス「TONEモバイル」提供
月額1,000円(税抜)で利用できる、
容量無制限の初心者向け格安MVNOサービス「TONEモバイル」提供
トーンモバイル株式会社 マーケティング本部 WEBプロモーション 兼 分析グループ 中間 隆晃氏(写真★)張 然天氏(写真★)
トーンモバイル株式会社 マーケティング本部
WEBプロモーション 兼 分析グループ
中間 隆晃氏(写真右)張 然天氏(写真左)

「属性を意識したマーケティングは、これからのマーケティング戦略上とても重視していて、カバーしている計測領域はもちろん、データの正確性・活用性も重要となってきます。今までは、特定のコンテンツを見たユーザーの年代を推測してリターゲティングするという設計はしていましたがリーチという観点ではなかったので、これからはマーケティング手法が変わっていくと感じています。今後は、各メディアがどれだけ対象セグメントにリーチ出来ているのかをレポーティング出来るようになる為、アドエビス自体の活用の幅が更に広がりそうです」

ゴルフダイジェスト・オンライン

月間1.5億PV・会員数300万人を誇る国内最大級のゴルフメディア「GDO(ゴルフダイジェスト・オンライン)」を運営
月間1.1億PV・会員数300万人を誇る国内最大級のゴルフメディア
「GDO(ゴルフダイジェスト・オンライン)」を運営。 「GDO(ゴルフダイジェスト・オンライン)」を運営
株式会社ゴルフダイジェスト・オンラインメディアビジネスユニット メディアプロデュースグループ 佐藤 由佳氏糸井 はるか氏吉野 真妃氏
株式会社ゴルフダイジェスト・オンラインメディアビジネスユニット 
メディアプロデュースグループ
佐藤 由佳氏(写真右)糸井 はるか氏(写真中央)吉野 真妃氏(写真左)

 「昨今ゴルフ業界以外の一般消費材や自動車メーカー様より、弊社の「会員属性」に対してご出稿頂く機会が増えてきました。そんな中、実施した施策や記事が、意図するターゲットにリーチができたかと振り返る際、会員情報のみでコンテンツを評価することは不十分だと感じていました。

 例えばゴルフのプレー頻度やスコアといったデータは自社で保持していても乗っている自動車や保険の加入状況などは分かりませんので、CVに近い潜在層にリーチできたかは、計りきれませんでした。アドエビス内に閲覧者に紐づく詳細な情報が追加されることは、広告展開においても、編集記事のPDCAを回すということにおいても、可能性が広がると感じています」

「アドエビス(デモグラフィック情報分析機能)」の詳細はこちら

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この記事の著者

高山 透(コウヤマ トオル)

フリーカメラマン。雑誌の撮影などを主にしています。

最近では、webの撮影も多くなってきました。日々の生活は、朝タブレット端末をながめながらコーヒーを飲み、のんびり1日が始まります。 休みの日は、新宿御苑に行ったり、子供と遊んで過ごしています。

webサイト

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

押久保 剛(編集部)(オシクボ タケシ)

メディア編集部門 執行役員 / 統括編集長

立教大学社会学部社会学科を卒業後、2002年に翔泳社へ入社。広告営業、書籍編集・制作を経て、2006年スタートの『MarkeZine(マーケジン)』立ち上げに参画。2011年4月にMarkeZineの3代目編集長、2019年4月よりメディア部門 メディア編集部...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

辻村 祐揮(ツジムラ ユウキ)

 1988年生まれ。慶應義塾大学文学部を卒業後、フリーランスのライター/エディターとして生計を立てることを志す。現在は主に製造業関連のニュース記事作成を請け負っている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2018/01/19 11:26 https://markezine.jp/article/detail/25701