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「デジタルだけでは届かない層にリーチする」 カネボウが自社アプリで目指す、顧客との理想の関係とは


 2016年12月、カネボウ化粧品が展開するアプリ「スマイルコネクト」が正式リリースされた。同アプリはCRMのために開発され、実店舗への来店を促すことが目的であるという。ではどのようなコンテンツで来店を促し、マーケティングに活用する予定なのだろうか? 今回は、スマイルコネクトのプロジェクトマネージャーである中根さんに、お話を伺った。

「目的はCRM」 約1,000ある実店舗を活用

――スマイルコネクト開発の目的を教えてください。

花王 デジタルマーケティングセンター コミュニケーション技術室 中根志功氏

 花王とカネボウ化粧品の(※カネボウ化粧品は花王の完全子会社)、複数部門から集められたプロジェクト体制で業務を進めています。私はCRMプロジェクトのマネージャーで、スマイルコネクトもCRMを目的として開発しました。

 CRMを考えた時に一番にあったのは、お客様との関係性をもっと良くしたいということ。カネボウ化粧品は全国に約1,000ある百貨店・総合スーパー(GMS)のカネボウ店頭顧客システム設置店に、ビューティーカウンセラー(以下、BC)というスタッフを配置し、お客様のお肌の状態をカウンセリング。よりキレイになっていただくためのご提案や、美容情報をお届けしています。その店頭で活用できる情報を、アプリのプッシュ通知などでタイムリーに提供したいと思っています。

――アプリ内で完結させるのではなく、あくまでも店頭での活用と送客が目的だと?

 そうですね。他社が簡単にはできないことが、当社にとって一番の価値になると思っています。約1,000店舗に社員がいるということは、どこの会社でもできることではありませんから。

 また、実際にお会いして悩みをご相談いただいたり、商品の楽しみ方をお伝えしたりと、ただものを買うだけではなく、気軽に立ち寄れる点が当社の強みです。それを最大限に引き出すためのデジタルマーケティングとは何かと考えた時に、店頭に行きたくなるような情報を提供することが重要だという回答にたどり着きました。

「ECは実装しない」 目的はあくまで店頭への送客

――EC機能の実装予定はありますか?

 ありません。ECをあえてやらず、あくまで店頭への送客を目的とするアプリをメーカー自身が運営しているという。この点を、取引企業にも前向きに捉えていただいています。

スマイルコネクトTOP画面キャプチャ

――プッシュ通知以外に、Webサイトではなくアプリを選択した理由を教えて下さい。

 Webベースだと、ログインというハードルがあるからです。私は以前ECを担当していたことがあるのですが、1メーカーのサイトにログインするためにIDとパスワードを管理するのは、お客様にとって負担だと感じていました。そこを脱却するため、スマートフォンと会員証というお客様ごとにユニークなものを組み合わせ、スマホ/アプリ自体をIDとし、ログインの必要性をなくすことにしました。

――アプリ構築時に注意したポイントはありますか?

 インプットとアウトプットが、一対になるように考えましたね。たとえばスマイルコネクトの場合、初回登録時の住所入力において、市区町村までしかインプットを求めていません。それはお客様に天気予報をお届けするためのもので、ECのような番地まで必要なアウトプットを行わないと決めているからです。

 とりあえずインプットを求めていると、せっかくデータがあるんだから活用しようと、変な方向性に進んでしまう恐れがあります。また、不必要な個人情報をいただかないことで、お客様に対しても健全性を示すことができます。

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この記事の著者

押久保 剛(編集部)(オシクボ タケシ)

メディア編集部門 執行役員 / 統括編集長

立教大学社会学部社会学科を卒業後、2002年に翔泳社へ入社。広告営業、書籍編集・制作を経て、2006年スタートの『MarkeZine(マーケジン)』立ち上げに参画。2011年4月にMarkeZineの3代目編集長、2019年4月よりメディア部門 メディア編集部...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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2017/02/27 15:48 https://markezine.jp/article/detail/25787

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