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有園が訊く!

プログラマティックTVの現在地と日本における課題

アメリカでは映像コンテンツの視聴方法が極めて複雑化

有園:プログラマティックTVは、まだ日本では広がる兆しがありませんよね。それでも私が注目しているのは、近い将来にテレビ番組も全面的にネットでの同時配信がされる可能性があると思うからです。

 AbemaTVのようなサービスがもっと多く出回ると、放送と通信を横断した動画広告の取り引きが活発になると思います。

近藤:そうですね、わかります。

有園:日本でも、もう少し広がっていいのではと思うのですが、なぜアメリカでは先行して広がりつつあるのでしょうか?

近藤:テレビCMを含めた動画広告の配信先が、日本より分散化しているからという理由が大きいと思いますね。アメリカでは地上波のほかに衛星やケーブルテレビの存在が大きく、日本よりもずっと日常的に見られています。

 これらは時間軸が一方向に流れていて、基本的に広告枠も放送されたら巻き戻せないので、リニア(線形)なブロードキャスティングサービスと言われています。

 一方で、これも日本よりアメリカでずっと浸透しているHuluやNetflixなどオンラインのVODサービスは、ユーザーが好きなときに見られるので、ユーザーの数だけ時間に関係なく広告枠が発生します。

日本のメディア環境とプログラマティックテレビ

有園:ノンリニアの、まさにネット配信ですね。

近藤:ええ。こうしたリニアとノンリニアの両方が、テレビやスマートフォンなど複数のデバイスで多くの人に見られているので、ユーザーへの接点が非常に捉えづらい。番組もデバイスも配信経路も複雑になりすぎて、従来のマニュアルでのプランニングは限界がきているため、プログラマティックTVのような仕組みが切実に必要とされているんです。

有園:そうなんですね。先ほど、配信開始後のチューニングも可能とおっしゃいましたよね?

近藤:ええ。ただ、オンラインの配信なら毎日でも変えられますが、リニアの出稿は従来のテレビ業界のビジネスフローに則る形にはなるので、1ヵ月契約したら中間の2週間で1回調整できるとか、そういうやり方ですが。

有園:なるほど。それでも、日本のテレビCMの慣習ではそのような調整はできないので、1回でも調整できるのは非常にメリットが大きいと思います。で、その機能も含めて、日本でプログラマティックTVは今後浸透しそうでしょうか? 技術的には可能ですか?

近藤:現状では環境が整っていませんが、もちろん整備すれば技術的には可能です。ただ、私は将来的にこの仕組みが日本で必要になるのかというと、ちょっと懐疑的なんですよね。

 というのは、アメリカでの映像コンテンツ視聴があれだけ多様化しているのは、広い国土や文化の多様性も関係しているので、日本が追いかける形で同じだけ複雑になることは今後もないだろうと思うんです。

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マルチスクリーンへの最適なアプローチが課題

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この記事の著者

有園 雄一(アリゾノ ユウイチ)

Regional Vice President, Microsoft Advertising Japan

早稲田大学政治経済学部卒。1995年、学部生時代に執筆した「貨幣の複数性」(卒業論文)が「現代思想」(青土社 1995年9月 貨幣とナショナリズム<特集>)で出版される。2004年、日本初のマス連動施策を考案。オーバーチュア株式会...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2017/02/17 10:00 https://markezine.jp/article/detail/26013

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