プロ野球選手から、マーケティングツールの営業に転身
2001年秋、自由獲得枠で日本ハムファイターズ(現北海道日本ハムファイターズ)に入団した江尻慎太郎さんは2004年に5勝、2005年には6勝を挙げた。2009年には中継ぎ投手として45試合に登板し、チームのリーグ優勝に貢献、日本シリーズでも登板を果たした。その後、横浜ベイスターズ(現DeNA)、福岡ソフトバンクホークスでも活躍。2014年オフにユニフォームを脱ぐことになったときの選択肢は二つ――球団のスカウトになるか、ビジネスマンになるか。
「戦力外通告を受けた直後、球団の取締役に『もし野球を引退するのなら、ソフトバンクグループに推薦したいと思っている』と言われたのです。よくよく考えた末に就職活動を進めてもらうことにしました」(江尻さん)
もちろん、元プロ野球という肩書きだけで採用されるはずはなかった。功労者への就職あっせんという形ではなく、数回にわたる面接とSPI総合検査も受け、ソフトバンクC&S(以下、ソフトバンクC&S)に入社することになった。現在、江尻さんの所属は、同社のICT事業本部・EM本部・マーケティングバンク推進室。主に法人向けのマーケティングツールを取り扱う事業だ。まさに、マーケティング分野の最先端技術が勢揃いする部署と言える。
「ソフトバンクC&SはIT商材の商社のようなところで、いわばソフトのバンク(銀行)。ソフトバンクグループの元々の事業を担う企業です。私が所属するマーケティングバンクは、2015年4月に立ち上がったソフトバンクC&Sの新規事業で、クラウド型のデジタルマーケティングツールを世界中から集め、現在約1,600社のパートナー企業様へツールの提供を行っています」
IT経験どころかビジネス経験のなかった江尻さんだが、現在はクラウド型ソリューションを担当している。世界最先端のデジタルマーケティングツールを取り扱う現在の仕事に、どのように馴染んでいったのだろうか。