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ユーザー調査からわかった!LINE、アプリ、メールで求められる最適なコミュニケーションとは

企業からのメッセージがユーザーに嫌われる理由

MZ:3つのチャネルで離反してしまったり、またはネガティブな印象を持たれたりするのは、どのようなきっかけが多いのでしょうか。

清水:実はどのチャネルも同じで「送られてくるメッセージの回数が多いこと」、つまりユーザーが「煩わしい」「うざい」と感じてしまうほどの頻度になると、その企業に対してネガティブな印象を持つようです。

図 ユーザーが企業との接点を断つ理由
ユーザーが企業との接点を断つ理由

MZ:ユーザーが煩わしさを感じる頻度のしきい値はどれくらいでしょう。

川又:企業の方からも、「頻度をどれくらいにしたらいいか」という相談をいただくのですが、正直にいえば「正解はない」と思っています。というのは、頻度というのは単純な回数ではなく、ユーザーの状態によるところが大きいからです。

MZ:ユーザーの状態を把握していないことが問題なんですね。

川又:そうですね。実際にサービスを利用している際に送られてくる情報が、そのサービスの利便性を高めたり、不明点を解消する内容であれば、頻度が高いと思われる可能性はかなり低いと想定できます。難しいのは、ユーザーがサービスを利用していないなど、状態が定かでない時です。

 自身に関係がない企業目線のプロモーションに類する情報ばかりが送られてくると、自然と「頻度が多くて役に立たない情報」と捉えられてしまうはずです。この点についてさまざまな対処が考えられますが、男性には男性向け、女性には女性向け、などセグメント配信をするといった基本的な対処から、昨今あるDMPなどを導入してユーザーの行動実態を把握し興味・関心度が高まっている状態か、何に興味があるかを見極めるなどの方法をとることができるはずです。

 肝要なのは受け手側・ユーザー目線であるかであり、企業都合・企業目線だとユーザーが感じれば、それは自分によって無益な情報が頻度高く提供されるという印象になりかねません。

 それ以外にも、コミュニケーション頻度が高くて迷惑がられるケースの1つに、「メールで流した情報と同じメッセージが、アプリやLINEでも流れてくる」というものがあります。

 企業の事情として「各チャネル別に運用部門が分かれている」「グローバル企業において本国指定の施策を実行しなければならない」などが挙げられます。ユーザーにとってみればどのチャネルからであっても、同じ企業としか見られません。部門横断でコミュニケーションがどうなっているかを把握できる体制構築や、プロジェクトチームの発足などを通じ、「クリティカルな要素は省く」地道な努力が必要になると考えられます。

企業からのメッセージを迷惑に感じる理由:クリックで拡大

インストールを含めた全体的なコミュニケーション設計が成功の鍵

MZ:自分の身に置き換えてみると、やはり「もう少し工夫してくれたらいいのにな」と思うことがあります。最近、ポイントカードをアプリに置き換える企業が増え便利だと思う反面、更新やインストールに時間がかかって不便に思うこともあります。

川又:IDの統合という観点からすれば、アプリに集約するのは非常にいいのですが、店頭でないとカードからアプリに切り替えられないなど、ユーザーに不便を強いる環境になっていることもあります。テクノロジーを導入するメリットとデメリットを踏まえてコミュニケーションを設計できると良いですね。

MZ:テクノロジーやコミュニケーション設計を含め、今後この調査結果をコンサルティング事業にどのように役立てていくのかお聞かせください。

清水:LINEを使いたい、またはアプリを使いたいというところから相談に入るケースが多いですが、やはりチャネルありきではなく、「ユーザーとどういうコミュニケーションを取りたいのか」から入るべきだと考えています。その点では、テクノロジーの活用も求められますし、組織に切り込むこともあるでしょう。入り口はともかく、根幹にある「ユーザーとのコミュニケーション」という原点に立ち返り、この調査結果を踏まえて企業のサポートをしっかりやっていきたいですね。

図 各フェーズにおけるチャネル別の特徴
チャネル別の特徴

川又:企業の理想と現状の間にはギャップがあります。それをどう埋めるかという話になった時に、やはり方法論やチャネルありきではなく、一歩引いて考えることが必要です。

 その際、あくまで客観的な立場に立つことが当社の役割だと思います。完全に企業目線になるのではなく、ユーザーの立場にも立ちつつ、最適なメッセージ、コミュニケーションを企業と一緒に考えていく。そこで今回の調査結果が確実に役立つと思います。

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この記事の著者

岩崎 史絵(イワサキ シエ)

リックテレコム、アットマーク・アイティ(現ITmedia)の編集記者を経てフリーに。最近はマーケティング分野の取材・執筆のほか、一般企業のオウンドメディア企画・編集やPR/広報支援なども行っている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2017/03/10 10:00 https://markezine.jp/article/detail/26116

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