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コグニティブで実現するビジネス変革とは? 「IBM Watson Summit 2017」を徹底解剖

 2017年4月27日(木)、28日(金)の二日間にわたり「IBM Watson Summit 2017」が開催される。東京・品川を舞台に国内最大規模で展開される同イベント。昨年より登壇企業数が増え、ブーススペースも3割拡げるという。タグラインである「Cognitive and Cloud」に込められた意味とは何か。また、マーケターが得られる知見は何か。日本アイ・ビー・エムに聞いた。

マーケターも要チェック! ITだけのイベントに非ず

 日本アイ・ビー・エム(以下、IBM)が「IBM Watson Summit 2017 Cognitive and Cloud」を開催する。IBMのイベントと聞くと、反射的に大企業向け・IT担当者向けだと思ってしまうマーケターも少なくないかもしれない。タグラインも「Cognitive and Cloud」とあり、エンタープライズITのイベント、と解釈した読者もいるのではないだろうか?

 実際には、ビジネスとテクノロジー両サイドから知見を学ぶことができるイベントだという。そこで今回は、マーケターが同イベントに参加して得られるメリットは何か日本IBMに取材した。

話を伺った日本アイ・ビー・エム株式会社マーケティング&コミュニケーションズ パフォーマンス・マーケティング-イベント 部長 佐藤孝氏(左)、マーケティング&コミュニケーションズ アナリティクス・ワトソン・IoT マーケティング 理事 風口悦子氏
話を伺った日本アイ・ビー・エム株式会社
マーケティング&コミュニケーションズ パフォーマンス・マーケティング-イベント 部長 佐藤孝氏(右)
マーケティング&コミュニケーションズ アナリティクス・ワトソン・IoT マーケティング 理事 風口悦子氏(左)

 日本IBMが、「IBM Watson Summit」と銘打ってイベントを開催するのは、2016年に続いて二度目。イベント名にあるWatsonは、自然言語を理解もしくは学習し、人間の意思決定を支援する「コグニティブ・コンピューティング・システム(Cognitive Computing System)」の名称だ。

 一見、コグニティブだけをテーマに扱っているように映るかもしれない。だが、同イベントでは、IBMが2012年から提唱してきたコンセプトである「コグニティブ並びにクラウド」に基づきながら、あらゆる技術のポートフォリオ、ソリューション、テクノロジーが紹介される。

 具体的に、どのようなことが学べるのか。4月27日、28日の二日間で行われる同イベントだが、それぞれテーマが設けられている。

 4月27日:ビジネス・リーダーの構想を具現化する Day 1
 「WatsonとIBMクラウドで経営変革に挑む」

 4月28日:テクノロジー・リーダーの疑問を紐解く Day 2
 「データ活用とクラウドでイノベーションを起こす」

 タイムテーブルの構成は両日ともに共通している。午前中は2時間を使って、テーマに基づくゼネラル・セッションが用意されており、IBM並びに数々の企業関係者や著名人がスピーカーとして登壇予定だ。午後からは、5つのテーマに基づいて5トラック・80以上のセッションが繰り広げられる。

  1. 業界の変革、ビジネス・モデルの変革
  2. コグニティブによる専門性の再定義
  3. 開発のイノベーション
  4. データ活用によるビジネス創出
  5. クラウドで加速するビジネス変革

参加者数限定・有料イベントにした狙い

 IBM Watson Summit 2017は、昨年開催のイベントから大きな変更を加えられている。具体的には、参加無料・1万名規模の形式であったことを改めて、5,000名限定の有料イベントとした。その一方で、展示スペースは30%拡大している。

 昨年、IBM Watson Summit 2016自体は大盛況だった。反面、盛況だったがため「参加者一人ひとりが真に身となる現場体験」を提供できたのか、日本IBMは疑問に思ったという。

 そこで、会場・情報量を拡張しながら受け入れ人数を縮小し、さらに参加費をとるという方針に転換することで、「各企業の今後のビジネス方針に基づき、今、必要なソリューションを検討すべき人々が、有意義な時間を過ごす」ことを最優先できるようにしたわけだ。

 さらに、セッションの内容に連動した展示が53ブース用意されている。登壇者の話を聞いて、実際のソリューションに触れ、担当者と会話をすることで、「わかった気になるのではなく、ビジネスソリューションの具体的なエッセンスを持ち帰れる」ことが狙いだ。ブースの配置も、なるべく効率的かつ有益な体験を提供できるよう工夫がされているという。

「IBM Watson Summit 2017」開催!

 会期:2017年4月27日(木)/28日(金)
 場所:グランドプリンスホテル新高輪
 参加費:50,000円(税込)
 申し込み:こちらから
 ★詳細はイベントサイトをご覧ください。

「Cognitive and Cloud」の意味とは?

 IBM Watson Summit 2017における、おおよその全体イメージを共有したところで、もう少し同サミットの理解を深めるためのバックグラウンドを知っておきたい。

 メインタイトルを飾る「Watson」は、2011年2月、アメリカの人気クイズ番組「Jeopardy!(ジョパディ)」に登場し、クイズ王に勝利したことで一躍話題となった。

 以降Watsonは、自然言語を理解できる、人間が兼ね備える人知・知能・知恵をより拡大させるためのテクノロジーとして進化を続け、ビジネスのためのAIプラットフォームとして様々な業界で活用が拡大、深化し、その成果を競う時代になっている。根幹となるWatsonのコンセプトの一つは、ビジネスやマーケティングなどの現場、あらゆる職業職種を支援していくことだ。

 2016年2月にはWatsonの日本語版が発表され、「自然言語分類」「検索およびランク付け」「会話」「文書変換」「音声認識」「音声合成」の6種類のAPIがパートナー企業や開発者に向けて無料公開された。その後も「性格分析」や「画像認識」の日本語版が公開されている。

 これらのWatson APIはIBM Watson Developer Cloudを通じて公開されており、クラウド上でAPIを使ったWatsonを搭載したアプリ(コグニティブ・アプリ)を開発できるようになっている。

IBM Watson Developer Cloud
IBM Watson Developer Cloud

 つまり、クラウドによってWatsonが動く理由は、膨大なデータを活用することが前提となるコグニティブ・ビジネスを実現するためにクラウドが必要だからであり、言い換えればWatsonによってIBMクラウドが活きるのだ。

 タグラインとして用意されている「Cognitive and Cloud」は、Watson、ひいてはビジネスの変革・拡張にとって必要不可欠な要素を示している。IBMはこれまでも、このメッセージを発してきたが、今回のサミットの来場者にも再認識してもらいたいという。

Watsonが鍵を握る「パーソナライゼーションの進化」

 改めて現状の取り巻くデジタル環境を整理していくと、よりIBM Watson Summitをビビットに感じるマーケターが増えるのではないだろうか?

 というのも、デジタルトランスフォーメーションとも呼ばれる昨今、業種業態を超えた様々な企業が何かしらデジタライゼーションやデジタルに関わっているからだ。中でもマーケティングは、特にそれを感じられる職種であり、マーケターが敏感に察知してきた立場にある。

 人間は、会話の内容、紙のメモ書き、頭の中にある知恵、PC内のデータ等の様々な情報を総括して判断する存在だ。この、人間の認知・判断を技術化できれば、これまでのデジタルマーケティングとは一線を画した、「お客様にあわせたパーソナライゼーションが提供できる」というのが日本IBMの見解だ。

「IBM Watson Summit 2017」開催!

 会期:2017年4月27日(木)/28日(金)
 場所:グランドプリンスホテル新高輪
 参加費:50,000円(税込)
 申し込み:こちらから
 ★詳細はイベントサイトをご覧ください。

事例を通じて「コグニティブ」を理解する

 ところで、「コグニティブ」とはどういう意味だろうか? 辞書的には“認知の”という形容詞だが、IBMがコグニティブという言葉で示そうとする概念にピンと来ない人も少なくないだろう。

 コグニティブの中核となるテクノロジーがWatsonである。IBMはWatsonを人工知能ではなく「Augmented Intelligence(拡張知能)」と位置付けている。ここまでにも説明してきた通り、自然言語を理解し、推論し、学習を重ねることで、人間の意思決定や活動をサポートしたり、人間の知能、専門性を拡張する仕組みを意味するものである。IBMはこの新しいテクノロジーを活用したビジネスをコグニティブ・ビジネスと標榜しており、Watsonは人間にとってかわるのではなく、人間を支援し、とともに変革を起こすという点において他社の人工知能(AI)に対する見解と一線を画している。

 では、どのようにしてコグニティブ・ソリューションは活用されているのか? IBM Watson Summit 2017では、両日で20社以上の企業や組織が実践内容を語る予定だ。これらのセッションではコグニティブおよび、その技術の活用を体感することができるだろう。

 たとえば、4月27日に組まれているのが、オムニチャネルマーケティングとしてWatsonを導入した横浜銀行のセッション。横浜銀行は、2016年4月にコグニティブ・ソリューションの採用を発表し、12月5日からオムニチャネル・マーケティングのシステムが稼働した。ATM、インターネット・バンキング、メール、スマホ、Webサイトと、様々なチャネルから得られる情報を分析し、顧客ニーズを把握。複数のチャネルを連携させて、Watsonによるパーソナライズしたサービス提案を行う実状が伝えられるという。

 パーソナライゼーションのあり方をつかむには、チャネルが複数あるほど、Watsonの実力を知るのにも申し分ない。事前申し込みの2月段階でセッション受講の事前申込みが多いようで、注目度は明らかだ。

 また、IBMデザイン思考で実現する顧客志向のイノベーションと題し、IBM Design Thinkingのフレームワークやコグニティブなテクノロジーを用いて、体験価値をどのように高めることができるかを考察するセッションも興味深い。

 他にも、2月末時点でセッションの参加が正式に決まっている日本医療データセンター、金沢工業大学、エイベックス通信放送、JALエンジニアリング、筑波大学など、様々な業態、分野でのコグニティブ・ソリューションの実践例が披露される予定だ。

ディシジョンメーカーや、部署横断での参加がおすすめ

 二日間の内容は、これからマーケターに求められる資質とも関わりがありそうだ。つまり、ビジネスからテクノロジーの話に終始せず、テクノロジーからビジネスへの最適化も理解すること、そしてそれらを語れることが、求められているからではないか。今や、マーケティングを統括する立場の人間がテクノロジーを語り、マーケティングを導く時代だ、とも言い換えられる。

 故に日本IBMは、同イベントをディシジョンメーカー向けのものであると公言する。一方で、一人では決めたくても決められない立場に置かれるケースが現実的に多い、ということも日本IBMは承知している。その場合は、部門部署を越えた人同士の参加も効果的だという。

 社内の立場を越えて、部門間を越えて二日間の体験を共有することで、既に他社で始まっている革新、コグニティブ・ソリューション活用に直面しながら、「自社はどうすべきか」を共に考え、決断する機会になるからだ。

 従来のイベントは「マーケティングのイベント、ITのイベント」と区切られ、部署ごとに個別で知識を貯めるに留まっていたが、二日間のサミットでは、コグニティブ&クラウドの世界を、ビジネスと技術どちらからでも堪能できるようになっている。IBM Watson Summit 2017はマーケターにとっても、具体的な未来を見据えられる二日間となりそうだ。

「IBM Watson Summit 2017」開催!

 会期:2017年4月27日(木)/28日(金)
 場所:グランドプリンスホテル新高輪
 参加費:50,000円(税込)
 申し込み:こちらから
 ★詳細はイベントサイトをご覧ください。

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この記事の著者

遠藤 義浩(エンドウ ヨシヒロ)

 フリーランスの編集者/ライター。奈良県生まれ、東京都在住。雑誌『Web Designing』(マイナビ出版)の常駐編集者などを経てフリーに。Web、デジタルマーケティング分野の媒体での編集/執筆、オウンドメディアのコンテンツ制作などに携わる。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

【AD】本記事の内容は記事掲載開始時点のものです 企画・制作 株式会社翔泳社

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MarkeZine(マーケジン)
2017/04/06 13:59 https://markezine.jp/article/detail/26121