多層からなるユーザーを管理
最後の「多層から成るユーザーの管理」という概念は少々わかりにくいだろう。これは「会員/非会員」という従来の切り分けではなく、「本会員/ライト会員/非会員」といったように、区分けのラインが曖昧になってきたことに端を発している。
以前は、会員とは、ECサイト上で購入をしたユーザーを指していたが、今では購買した経験がなくても、LINE友だち追加やアプリダウンロードをしたユーザーを「ライト会員」として獲得することが可能だ。
北村氏によると、こうしたライトユーザー層を管理するメリットは、コミュニケーションの対象者が増えることにあるという。
実際、店舗とECサイトを展開するアパレル企業A社では、LINE ビジネスコネクトを用いて会員カードを発行し、LINE IDと店舗での購入履歴を紐付けた「ライト会員」とのコミュニケーションを実施しているという。
同社では、店舗への来店者に対して、以前は購入時にアプリでの会員登録を進める取り組みを実施していた。しかしアプリのダウンロードや必要事項の入力などの様々な作業が来店者の負担となり、店舗での会員登録に苦戦をしていた。そこで、LINEの友だち追加機能といった来店者が使い慣れている方法をとることでLINE IDと購入履歴が紐づいた「ライト会員」を形成することができた。
「ライト会員」とのコミュニケーションはLINE上でのつながりに限定されてしまう。ただ、最終的にはLINE ID、アプリ会員情報、店舗購買履歴、EC購買履歴、とすべての情報を統合することで、同一ユーザーに対し、様々なチャネルでのコミュニケーションを目指している。
「このようにMAでは、氏名や年齢などの詳細な顧客情報の取得ができないユーザーに対しても、LINEやアプリと紐づいた情報をもとにコミュニケーションを取ることができます」(北村氏)
さらに、「会員/非会員」だけではない多層に存在するユーザーに対して、会員レイヤーごとに適切なアプローチをすることができるのもMAの特徴であり、最終的には「ライト会員」を「会員」へと昇華させ強いつながりを持つことが可能だ。
長期的な視点でMAの活用を考えよう
CRMの目的においてMAを活用する場合、短期的な課題解決にばかり目を向けてしまうと、顧客との長期的な関係構築を阻害してしまうリスクがある。
これに対し、CRMの目的を再度認識した上で、これまで述べてきた「顧客の全体像を理解する」「チャネルを統合し、最適なコミュニケーションを実現する」「多層から成るユーザーを管理する」といった利点を念頭に置いてMAを活用すれば、逆にこれほど強い味方はない。
エクスペリアンジャパンでは、複数のチャネルやデータを統合して最適な顧客コミュニケーションを実現するMAを提供している。そのMAを活用するための最大のポイントは、「目的、施策、実行手段を紐付けて考えることです」と北村氏は語り、講演を結んだ。
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