全く同じ広告なのにCPAが3分の1に! そのカラクリは?
MZ編集部:そういった顧客のインサイトは、現場ではなかなか把握できませんし、ネットだからこそ見えてくるものですね。
大竹氏:現場などのオフラインでの施策も重要ですが、オンラインの施策をやるにしてもアドテクを活用することで、その効果が全く違ってきます。
たとえば、Facebookのリード獲得広告。これは、Facebook上の広告を見て興味をもったユーザーが、自動入力で登録フォームを広告主へ送信することができる仕組みです。ランディングページに移動せず、そのままFacebook上で登録が完結することや、情報の入力が簡単にできるため、結果に繋がりやすい広告の手段として注目されています。広告主は潜在顧客の詳細な情報を得ることができるので、効果的な手法です。
ある企業が、このリード獲得広告を活用して、“来館者に特典をプレゼント”するという応募型のキャンペーンを実施したんです。この施策を3会場で実施して、そのうち2会場はウエディングパークに出稿、1会場は自社で配信されました。
ウエディングパークで発信するリード獲得広告は、ウエディングパークを訪問した履歴をもとにターゲティングしてから、配信しています。3会場とも全く同じ広告で、その仕組みも同じなのに結果的にはウエディングパークに出稿した2つの会場はCPAが3分の1に抑えられた。似たようなキャンペーンをやられている会場は多いと思いますが、データを活用して広告施策を打つ方が効果的であることを、我々も実感しましたね。
未来の花嫁さんのことを考えると、ネット広告は必然になる
MZ編集部:では今後の展望をお聞かせください。

大竹氏:まずは、もっとデジタルの活用を浸透させていきたいですね。今は、まだ前衛的な一部の企業さんだけが本気でデジタルの活用に取り組まれているという状況です。もっと多くの会場さん、企業さんにインターネット広告を集客の柱のひとつとして、戦略的に使ってもらいたい。より効果的なマーケティングをしてもらえるように、サポートを強化していきたいです。
また、掲載企業のアカウントも倍増しています。イノベーター理論でいうと、今ちょうどキャズムに差し掛かっている状況なんです。ここを超えたら一気にウエディング×ITが浸透していくのでは?と考えています。
MZ編集部:今が良いタイミングでもあり、乗り遅れるとまずいタイミングでもありそうですね。
大竹氏:おっしゃる通りです。ただ、他の業界で普及しているネット広告をそのままウエディング業界に提供すればいいかというと、そうではないと考えています。
ウエディング業界は、おもてなし業界です。最も重要なのは接客や結婚式を行う現場であり、デジタルはそのサポートを行う位置づけだと考えています。
だから、我々がデジタルを推進していくには、業界に合わせてネット広告そのものを再構築していく必要があると考えています。ユーザーのインサイトの把握や行動の動向などから考察して、仮説をしっかり立てながらウエディング業界のネット広告の在り方を構築していかなければなりません。ネット広告はあくまで手段です。「ウエディング業界はこれをどう使っていこうか?」と、これからの在り方を考えていくスタンスで提供していきたいです。
MZ編集部:デジタルというと、難しそうだと気後れして、なかなか取り組めない企業も多いと思います。そういった企業の方々にメッセージはありますか?
大竹氏:未来の花嫁さんになる現代の女性たちは、スマホでものを調べるのが当たり前です。だから彼女たちとしっかりコミュニケーションをとろうと考えると、デジタルマーケティングに取り組むのは必然です。
ウエディング業界のデジタルシフトに向けて、効果的なマーケティング支援ができるよう、我々も責任をもって商品の開発を行うとともに、それに合った体制などを整え、今後もデジタルマーケティングを強化していきたいと思います。