尖った取り組みとスピードを生み出す「オーナーシップ」
オイシックスでは、PDCAサイクルの一連の流れを個人が担当し、施策の結果が出るまで主体性をもって取り組むことが奨励されている。
「『ここまでやったから後は次の人がお願い』では施策全体がぼやけたものになってしまいます。同様に、施策の起案から実行までのプロセスもシンプルで、個人が発案して上長の承認が得られれば、即実行する体制です。
一般的な企業では、個人が起案して、関係者の意見を取り入れて調整してから上司に提案する体制が多いですが、施策の方向性が、様々な意見の平均をとったような無難なものになってしまったり、施策がうまくいかない理由を探されて、守りに走ってしまったりします。
オイシックスには、個人が「課題に対峙するために、こういうメッセージの施策を絶対にやりたい」と訴えた場合は、上司の承認が出れば先ほどのフォーマットをもとに各現場が支援する文化があります。この環境によって、個々の主体性が上がっていくことを期待しています」(米島氏)
施策の評価方法と指標を明確化
さらに、施策の評価方法や指標設定をあらかじめ明確にしておくことも欠かせない。たとえば、施策のスケジュールや、「初動何日目にどの数字を確認するか」といったレビューのタイミング、施策がうまくいったら次にどんな施策を実施するのか、施策が失敗した場合は中止するのか他の施策を実施するのか、もしくは顧客理解を深めて施策の方向性を変更するのか、などといったことを先に決めておくのだ。
「先ほどご紹介した、LINEで変更し忘れ通知をする施策を例にご説明しましょう。LTVを最大化するためには、解約率がKPIになります。さらに、解約率のKPIには、変更し忘れ率があると考えます。その上で、変更し忘れ通知の初回開封率を高めれば、変更し忘れ率が下がり、解約率が減りLTV向上につながるのではないか、と仮説を考えるのです」(米島氏)
次に、施策の初動段階における開封率の成功ラインを、現状の開封率をもとに決めておく。それ以下であればLINEでのコミュニケーションはそこまでにしておき、別の施策を検討実施することにしておく。
「実際には、LINEでのコミュニケーションによって解約率が減りました。LINE連携率が上がるほど通知開封率が向上したので、「LINE連携率」を評価対象として掲げる次の実行部隊が動き出しました」(米島氏)
ここまで紹介してきたように、「プロセスの明確化と課題の共有」、「オーナーシップ」、「評価方法と指標の明確化」これら3つの指針こそが、オイシックスにおけるMA運用の成功を支えている。
そして、3つの指針が徹底しているからこそ、「長く続けていただける『仕組み』づくり」という理念のもとに「お客様一人ひとりを大切に」というコミュニケーション思想を実現するために、MAをフル活用できているのだと米島氏は語る。
最後に米島氏は今後の展望として、「お客様とより親密な時間を過ごすために、お客様が思っていることに対して、よりタイムリーなコミュニケーションをしていけるような機能を追加していきたいと考えています」と語り、講演を締めくくった。
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