ポイントはTVCMまでの壮大なティザー施策
MZ:今回のキャンペーンはどういった施策だったのか教えてください。
樋口:今回のキャンペーンでは、相当情報量を絞った形でのティザー活動から始めました。まず、渋谷109の屋外広告に「#10969GVP」というハッシュタグだけを掲げ、そこからのSNSによる拡散を狙いました。

それにあわせて、特設サイトをオープンし、ティザー動画を数本公開して期待値を高め、最終的にはTVCMを民放全国一斉放送(一部除く)することで全貌を明らかにしました。
MZ:施策におけるポイントはどこでしょうか。
樋口:やはりティザー施策でしょうね。TVCMまでの施策で期待値を徐々に頂点に持って行くという、世の中に「次はなんだ」という期待してもらう構図を作りにいきました。それが実際に上手くいったのが大きなポイントです。
MZ:最後のCMに向けて徐々に期待値を上げていくのは難しくはなかったですか。
樋口:情報を絞ったことによるメリット・デメリットは当初から想定できていました。良い面はSNSで波及されていくこと。悪い面は、情報を絞りすぎて「なんだこれ」といったネガティブな反応が返ってくることでした。
そのため、我々もいきなり情報を発信していくというわけではなく、どのタイミングで情報を出すか綿密に設計し、ポジティブな方向に働くように心がけました。
車軸で語らないことが好感を呼ぶ
MZ:キャンペーンの中で何か苦労された点はありますか?
樋口:ティザー期間が長いことによる苦労はありましたね。施策の始まりが6月16日、すべてが明らかになるのが7月30日で、1ヵ月半ほどの期間で少しずつ情報を出していくわけですが、早く出したい衝動にはかられました。
設計して、「これで行く」と決めたら腹を括らなければなりませんが、期間が長い分Web上の動きが見えてしまうんですよね。その結果、反省点が出てくるのですが、そこは我慢でした。細かなアレンジはその都度して、よりよい方向に舵をきるということはありましたが、基本は設計からぶれないようにしました。
MZ:確かに、今回のような設計のキャンペーンは少ないですね。
樋口:そうですね。特にHondaと接点がない方々にアプローチするときに、通常のやり方だとなかなかメッセージは、響きにくいです。
そういう方々が「なんだ?」とこちらに顔を向けてくれるためには、時間がかかります。そのため、1ヵ月半という期間の中で、「Honda」のキャンペーンに対する世の中のざわつきを高めて、TVCMで伝えるメッセージが届くよう、辛抱強く7月末まで取り組みました。
MZ:序盤の施策は、特に車軸で語られていないように思いました。
樋口:ティザーCMの第3弾、第4弾あたりから、今回のキャンペーンに登場するシビックらしきものが外観でわかるようになっていきました。あくまでシビックという車種を前面に押し出すということではなく、シビックに込められた企業理念やDNAを広告の中で感じてもらうことが狙いだったので、車軸での訴求は避けました。