営業にチャットマーケティングを導入したIDOMとietty
2016年7月、ガリバーインターナショナルから社名変更したIDOM(イドム)と、首都圏・京阪神を中心に不動産の賃貸仲介業を展開するietty。それぞれ中古車売買と賃貸仲介という、店頭での契約を最終のコンバージョンとするサービスを展開している。さらに両社の共通点は、営業にチャットマーケティングを導入したことだ。
その理由について、IDOMのデジタルマーケティングを担当するデジタルコミュニケーションセクションの中澤伸也氏は、次のように語る。
「私たちのお客様は、自然来店とオンラインからコンタクトセンターを経由した予約来店の2つに分かれます。しかし、オンライン経由で来店するお客様との契約は、受注率が低いという課題がありました。ここを改善するため、クルマコネクトというチャット型営業プラットフォームを取り入れました」(中澤氏)
中澤氏によると、自動車の購入は8年から10年に1度というサイクルであり、検討期間が3ヵ月以上から半年と長期に渡る。そのため、IDOMでは新規顧客獲得を目的とするマーケティング活動に注力しており、年間のデジタル広告費に数十億円をかけていた。
しかし、競争環境が激化と自社の成長によって、リーチの成長限界、CPAの悪化。この背景から、見込み顧客とエンゲージメントを深める方針へシフト。チャットで顧客の要望をヒアリングし、ニーズに合った車の提案を行うなど店頭営業と同じような環境をクルマコネクトによって実現し、来店までのナーチャリングを行っているのである。
チャットで部屋探しをカジュアルに
続いてiettyのCOOを務める内田孝輔氏は、チャットマーケティングを行う理由として「部屋探しのハードルが下がる」点を挙げた。
既に埋まっているにも関わらずWeb上に掲載されているおとり物件や強引な営業方法に顧客が不安を抱き、物件探しの相談がしづらいという状況が課題となっていた。その解消手段の一つとして「カジュアルなコミュニケーションが可能なチャットを採用した」と内田氏は語る。
iettyのサービスは、入居希望者が物件の要望や引っ越し時期などの情報を登録すると、チャットを介して物件情報が紹介されるサービスだ。物件提案はチャットBotが対応し、質問はオペレーターが手動で回答するというハイブリッド型のチャットサービスである。LINEなどの利用が増え、チャットコミュニケーションが当たり前となった今、メールより気軽に相談できるという顧客のニーズもくみ取っている。