アトリビューションモデル5つのパターン
次に広告貢献度を評価するための、代表的なアトリビューションモデルのパターンを5つについて解説します。マーケティングの目的(認知ブランディング、広告接触回数の増加、サイトへの誘導やコンバージョン獲得件数など)によって、アトリビューションモデルを選択します。

1.ラストクリック(最終)モデル
- ユーザーがコンバージョンする直前(最後)に接触した広告のみ評価する方法
- サイト誘導や獲得件数を重視する場合に有効なモデル
2.ファーストクリック(初回)モデル
- ユーザーが初回(最初)に接触した広告のみ評価する方法
- 認知ブランディングを重視する場合に有効なモデル
3.均等配分モデル
- 広告接触からコンバージョンまですべてのアクションを平等に評価する方法
- ユーザーの広告接触や経路を均等に割り振るモデル
4.減衰モデル
- コンバージョンに近いタッチポイントの広告を評価する方法
- コンバージョンに近い広告から順番に評価するモデル
5.接点ベース(初回最終)モデル
- ユーザーが初回に接触した広告と最後に接触した広告を評価する方法
- 広告の認知と獲得に直接結びついたアクションを評価するモデル
現場でよく見受けられるケースとして、獲得効率を重視し過ぎてしまい実施中の施策を継続しCPAや獲得件数など直接効果のみで広告効果を評価するケースです。結果リターゲティング施策に依存し広告配信のボリュームが限定的になってしまい規模感のない施策となってしまいます。
この場合、広告の貢献度の把握や分析を行い、広告配信の機会拡大と予算配分などメディアプランの見直しを検討し広告の運用改善を図ることが必要です。
アトリビューション分析と貢献度の可視化
次にアトリビューションモデルを用いることで、どの広告の貢献度が高いか把握しメディアプランの見直しおよび広告運用の改善を図ることができるか検討しましょう。
下図の例であれば、広告の貢献度をコンバージョン直前のラストクリックによる直接効果でみるとCPAが低く、CV数の多い広告Bが効果の高い広告と判断できます。
しかし、コンバージョン直前のラストクリック以外の間接効果でみると広告B以外の広告Aや広告Cが、初回接触(認知・興味喚起)、中間接触(サイトへの誘導)に有効であると判断することができます。

広告の直接効果以外に広告の間接効果を均等に評価(均等配分モデル)した場合に、広告認知からコンバージョンまで結びついたアクションを把握することで、将来どのくらいパイの増加が見込めるか予想できます。こうしたシミュレーションを行うことで意思決定につながる判断が可能です。
また、単純作業の観点で広告メニュー選定やメディアプランの見直し(リプランニング)による広告予算の再配分(リアロケーション)を行うのではなく、自社の顧客ターゲットとなる属性のオーディエンス情報をもとにユーザー傾向を把握し、メディアごとにバランス良くデジタル広告の運用と施策の展開を意識することが大切です。
これまで8回に渡りデジタル広告とうまく付き合うために必要な基本スキルを解説してきました。
具体的な広告での集客方法や最新のアドテクノロジーの情報を理解することはもちろん大事なことですが、より大切ことは自社のマーケティング施策全体を見渡した時に、生活者とどのようなコミュニケーションを図りたいのか、しっかり目標を定めることです。
目標値(KPI)からギャップを把握し、施策の効果検証を繰り返しながらノウハウを蓄積しパフォーマンス改善を図りましょう。
これまでの内容が、マーケターの皆さまにとってデジタル広告に関わる基本スキルの定着・意識向上とマーケティング施策の改善を図る上でのヒントにつながれば幸いです。
