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検索の弱点をチャットボットで克服 AIで地域の「お困りごと」の解決に挑む横浜市の取り組み

「旦那」の捨て方にまで回答を用意

――チャットボット導入の成果について、利用者の声や改善の数字などを交えて教えてください。

江口:使っている人からは「使いやすい」「おもしろい」と言われますね。市民がよく知るマスコットキャラクターの「イーオ」が、LINEのようにカジュアルな会話の形式で答えるユーザーインターフェースを採用しています。昨年の夏、おもしろいと話題になったのは、「旦那」と入力した時の回答でした。

Repl-AIを活用したチャットボットのインターフェイス
Repl-AIを活用したチャットボットのインターフェイス

宗像:MIctionaryの運用では、どんな言葉が検索されたかを定期的に調べ、0件検索になった言葉の中から、誤って入力したと考えられるものを除き、「ICレコーダー」のように新規登録が必要なものを拾うようにしていました。このようにして、チャットボットの性能を向上させていきました。

検索からチャットボットになったことで改善された点

  1. 表記ゆれへの対応
  2. 検索結果の精度向上
  3. 検索疲れの抑制

 「旦那」「過去」「黒歴史」などは、通常は回答を用意するべきものではありませんが、MIctionaryの以前の検索履歴にあったので、興味をもって頂くために回答を用意しました。

江口:一種の遊び心ですね。ごみでないものの回答は名言や、横浜に因んだものなどを用意しようと、課の職員全員で話し合って決めました。

 でも、最初からウケを狙ってやったことではありません。ごみの分別が面倒な人はとても多いと思うので、チャットボットを使う中で「おもしろいな」「協力したいな」という感覚をもってもらえればうれしいです。

宗像:キャラクターの「イーオ」に投げられかけた質問数は、昨年の3月6日に開始してから今年の3月5日までの1年間で累計214万になりました。

 多くのメディアで取り上げられてからアクセスが急増し、その後も順調です。職員も電話で案内を受けるときに使えますし、市民の皆様からも「わかりやすいので、もっと充実させてほしい」という声を頂いています。検索ツールとして浸透している印象です。

江口:データを見てみると、すべての質問中3割が受付時間外の時間帯からのアクセスであることもわかりました。チャットボットのおかげで、今まで案内ができていなかった時間帯に対応できるようになったことになります。

小林:横浜市のチャットボットは、我々のサービスの中でも、人気で1・2位を争うぐらいのものです。ログにも特徴があり、友達同士の話し合いのようになるのです。

 「旦那の捨て方」の例にあったように、本当の問い合わせだけではなく、遊びの問い合わせにも対応できるので、利用率が高いのかもしれません。チャットボットの先進事例として、企業からの認知も高いです。事務的なものメインのものか、遊びメインのもののどちらかではなく、両方の要素があるのでユーザーが飽きないのかもしれません。

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違う技術と組み合わせ、さらなる住民サービスの利便性向上へ

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この記事の著者

冨永 裕子(トミナガ ユウコ)

 IT調査会社(ITR、IDC Japan)で、エンタープライズIT分野におけるソフトウエアの調査プロジェクトを担当する。その傍らITコンサルタントとして、ユーザー企業を対象としたITマネジメント領域を中心としたコンサルティングプロジェクトを経験。現在はフリーランスのITアナリスト兼ITコンサルタントとして活動中。...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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2018/03/28 10:00 https://markezine.jp/article/detail/27903

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