※本記事は、2018年3月25日刊行の定期誌『MarkeZine』27号に掲載したものです。
店舗と自社ECを含めたブランド育成の観点が必要
この4〜5年で、アパレル各社の店舗での販売は一層厳しくなり、ECやオムニチャネル推進はいよいよ“待ったナシ”という状況になっています。データベースの統合、マーケティングオートメーションやWeb接客ツールの導入など、テクノロジーは発展していますが、それで解決できる課題は想定の範囲内です。
むしろ、激変しているのは既存の国内アパレル企業を取り巻く環境です。この数年間、ファストファッションの台頭や、EC専業ブランドの登場などがあります。さらに象徴的なのは、ブランドホルダーではなくショッピングモールの立場であるZOZOTOWN(スタートトゥデイ)のZOZOSUITとプライベートブランド(PB)の「ZOZO」ですね。またAmazonのPBもメーカーを脅かすものになっています。
アパレルのECの売り場には大きく「自社EC」と、前述の「モール型EC」があります。単に会社の総売上を高めるため、あるいは自社ECへの投資が難しければモール型ECのみに出店する戦略ももちろんあり得ますが、オムニチャネルを考える上では、内部でコントロールできるプラットフォームとしての自社ECは必須でしょう。
どうしてもアパレルはモール型ECに依存度が高くなりがちで、いわゆるEC化率は比較的高くても、内訳はほとんどがモールの場合も多いです。
なので、オムニチャネル化を進めるなら、単にECを考えるのではなく「自社EC」と「店舗」という直営チャネルをどのように連動して増強するかという観点に立つことが前提になります。もちろん、自社ECだけを整備したからといって劇的に顧客満足度が上がり、事業全体にインパクトが出せるわけではないので、その上で改めてブランドをどう育てていくかを考えることが大事です。