SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

おすすめのイベント

おすすめの講座

おすすめのウェビナー

マーケティングは“経営ごと” に。業界キーパーソンへの独自取材、注目テーマやトレンドを解説する特集など、オリジナルの最新マーケティング情報を毎月お届け。

『MarkeZine』(雑誌)

第106号(2024年10月号)
特集「令和時代のシニアマーケティング」

MarkeZineプレミアム for チーム/チーム プラス 加入の方は、誌面がウェブでも読めます

統括編集長インタビュー

「全てはビジョンからはじまる」創業以来連続増収、アイスタイル吉松流データドリブン経営


 今、日本で最も売り上げている化粧品専門店は、どこだと思うだろうか? 答えは年間売上高約15億円の「@cosme storeルミネエスト新宿店」。言わずもがな、化粧品口コミサイトの先駆「@cosme」がプロデュースする実店舗だ。海外出店も相次ぎ、波に乗っている。データドリブン、ユーザーファーストといった概念は今でこそ広がっているが、@cosmeは1999年の開設当時からこれらを重視し、メディアが多様化する中での激戦を約20年にわたり勝ち抜いて、現在450万会員を擁している。その成功の要因と、ビジネスにおける考え方について、アイスタイルの吉松徹郎社長に迫った。

ネットが生活者主導の時代を切り拓いた

押久保:MarkeZineでは2006年の立ち上げから現在まで、デジタルマーケティングの発展を追ってきましたが、最近ようやくデータドリブンやユーザーファーストの考え方が浸透して実践フェーズに入った感があります。ところが、吉松さんはそれらに早くも1999年に着目して口コミサイト「@cosme」を開設し、その慧眼で事業を伸ばし続けていらっしゃいます。特に、最近の成長は著しいですね。

吉松:直近で2月に第2四半期決算発表をしましたが、売上と営業利益ともに前年同期比165%の伸びとなりました。おかげさまで、アイスタイル創業以来の連続増収を達成しています。

アイスタイル 代表取締役社長CEO 吉松徹郎氏
アイスタイル 代表取締役社長CEO 吉松徹郎氏
2018年6月期 第2四半期 決算説明資料より掲載
2018年6月期 第2四半期 決算説明資料より掲載

押久保:御社では、創業時から「生活者中心の市場創造」をビジョンに掲げられています。ただ、@cosmeの構想ありきの創業ではなかったんですよね?

吉松:ええ。元々は、メーカーが持っていない横断的な購買データを取れないかという発想があり、そこから、商品を買って使った人が書き込む口コミをユーザー間で役立ててもらいながら、疑似顧客データとして収集する化粧品口コミサイトを考案しました。

押久保:そもそも、生活者中心の発想やデータドリブンな観点はどこから生まれたのでしょうか?

吉松:大きくいうと、ネットが「情報を皆で流通する時代」を連れてきたと捉えています。今ちょうど、ビットコインやブロックチェーンによって、通貨がディセントリック(脱・中央集権)する時代に突入していますよね。これが20年前と重なって、すごく既視感があるんです。

 ネット以前、ブロードキャストは紙媒体や放送権を有するマスメディアの特権であり、メーカーが情報発信を主導していました。それが90年代後半にネットが普及して、個人にパワーが移り、一方通行だった情報の非対称性が崩れた。その時点で、これからは生活者が情報発信を主導する時代になるし、そこでやり取りされるデータが大きな価値を持つはずだと強く感じました。

GoogleとAmazonを皆が認めた瞬間

押久保:そこから20年の間に、ネット広告をはじめとしてデジタル市場はどんどん拡大しています。吉松さんから見て、潮目が変わったと感じたポイントはどこでしょうか?

吉松:ピンポイントに示すのは難しいですが、GoogleやAmazonが評価されるようになったことが大きいと思っています。

押久保:その存在が認められた、といった意味ですか?

吉松:そうですね。Googleは最初こそ検索エンジンとして認識されましたが、Google EeathやYouTubeなど検索以外のサービスが広がるうちに、「彼らが持っているのはポータルのようなメディアではなく、その先のデータなんだ」と皆が理解し始めたタイミングがあったと思います。その瞬間が、僕にはすごくゲームチェンジが起きた感がありました。

 同様にAmazonも、早くからデータに注目していました。でもしばらくはECプラットフォームとして捉えられていて、Amazonはデータでビジネスをしている・していくのだと皆が感じ始めたのはかなり後ですよね。Amazon GOにしても、表面的には店頭のスマート化といった観点で語られがちですが、それはちょっと本質がずれていると思う。Amazonは持てる情報を総動員して売り場を作り、“How to Sell”ではなく“What to Sell”を突き詰めていくと思います。

会員登録無料すると、続きをお読みいただけます

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

次のページ
「どう売るか」ではなく「何を売るか」が本質

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • Pocket
  • note
関連リンク
統括編集長インタビュー連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

押久保 剛(編集部)(オシクボ タケシ)

メディア編集部門 執行役員 / 統括編集長

立教大学社会学部社会学科を卒業後、2002年に翔泳社へ入社。広告営業、書籍編集・制作を経て、2006年スタートの『MarkeZine(マーケジン)』立ち上げに参画。2011年4月にMarkeZineの3代目編集長、2019年4月よりメディア部門 メディア編集部...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2018/04/13 17:51 https://markezine.jp/article/detail/28106

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング