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テレビ局にとっての「顧客」は誰か~日本テレビが挑戦するデジタル施策とその課題

リアルとフィクションが交差する演出が成功の要因

  「AIカホコ」の成功要因として吉田氏は、“リアルとフィクションの仕切りを越えたコンテンツを提供できた”ことが大きかったと分析している。その一例として、カホコの経歴や趣味、恋愛、好きなものなどが会話のテーマの中心なり、盛り上がることが多かったという現象が挙げられた。ユーザーに対して「AIカホコ」がドラマのストーリーには描かれていない情報を補完していたというわけだ。

 また、ドラマ期間中に放送された『24時間テレビ 愛は地球を救う』に際しては、「AIカホコ」が「今日は24時間テレビだね、カホコも募金に行こうかな……」とLINEでメッセージを送信。その後実際に、ドラマでカホコを演じていた高畑充希さんが24時間テレビに登場するなど、リアルとフィクションを立体的に交差させて、「AIカホコ」との会話のきっかけを増やす演出も試みた

 中村氏も同施策を振り返り、「『AIカホコ』は、ドラマコンテンツとAI、SNSを組み合わせた画期的な取り組みだったと思います。テレビ局全体で課題となっている若年層へのリーチという点においても、一定の成果があった成功事例だと捉えています」と話した。

日テレの看板音楽番組「ベストアーティスト2017」での挑戦

 次に、2つ目の施策事例として、2017年11月28日に放送された音楽番組『ベストアーティスト2017』でのデジタルプロモーション施策が紹介された。吉田氏に続いて登壇したのは、日本テレビのインターネット事務局に所属する長島氏。ドワンゴから出向している同氏は、ライブ配信が持つ特徴やメリットをテレビ局のプロモーションに活かすための取り組みを行っている。

 “日テレ系音楽の祭典”というサブタイトルのある『ベストアーティスト』は、名前の通り日本テレビを代表する大型音楽番組で、その予算も規模も桁違いである。このような番組のプロモーションに当たって、同氏らが提案したのは「新しい視聴習慣」の提供だった。

 具体的には、本番前の午後6時から午後10時54分の番組終了までTwitter・YouTube・LINE・ニコニコ生放送・Facebookで「裏配信★大魔王の部屋」という、ネット版裏実況番組を配信。固定カメラ1台とカメラマン1人というシンプルな設備の楽屋で、パフォーマンス前後のアーティストから話を聞くといった内容のコンテンツを提供した。

 日本テレビの看板音楽番組での施策だったために、この施策によって地上波放送の視聴率に影響が出るのではないか、などといった意見もあったと長島氏。ただでさえネットやSNSに流れてしまっている若年層を、この施策でテレビの前に集めることができるのかという点については、懐疑的な意見も一部にはあったという。

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若年層による「シェア」が過去最高を記録した半面、課題も

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この記事の著者

浦野 孝嗣(ウラノ コウジ)

 2002年からフリーランス。得意分野は経済全般のほかIT、金融、企業の経営戦略、CSRなど。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2018/04/26 09:00 https://markezine.jp/article/detail/28204

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