リアルでもデジタルでも「パーソナライズ化」に力を入れたい
――「Starbucks Rewards」で得たデータは、どのように活用されるのですか?
濵野:購買データを活用して、お客様の好みに合わせたおすすめの情報や、ニーズに基づいた商品開発にも取り組んでいきたいと考えています。
たとえば、毎日ドリップコーヒーを飲んでいるお客様に、いきなりフラペチーノをお勧めしても響きませんし、嬉しくもありませんよね。ですので今後は「Starbucks Rewards」のデータに基づいて、よりユニークでパーソナルなスターバックス体験を提供できるようにパーソナライズ化していく予定です。
――リアル店舗での体験にも、これらのデータが活かされる場面が出てくるのでしょうか?
濵野:はい、店舗ごとにお客様の層は異なります。ビジネス街であれば、ビジネスマンがコーヒーブレイクをしに来たり、ランチを食べに来たりします。一方で郊外では、家族連れのお客様が多くなる傾向があります。
こうした違いを分析し、可視化することで、コミュニケーションやセグメンテーションを店舗ごとに最適化できるのではと考えています。
――「Starbucks Rewards」をリリースされてから、現時点で何か成果がありましたか?
濵野:「Starbucks Rewards」に参加してくださっているお客様の来店頻度が高い傾向にあり、このプログラムでお客様とのつながりがより深いものになっていると感じています。
今回、ローンチ直後から多くのお客様が「Starbucks Rewards」に入会してくださり、予想を大きく超える反響をいただきました。今後もスターバックスが大切にするお客様とのエンゲージメントをさらに高めていきたいですね。
リアル×デジタル施策の成功要因は組織体制にあり
――デジタル上のデータを、リアル店舗のオペレーションにまで落とし込み、活用するのはとても難しいと想像します。また、組織が大きくなるほど、そのハードルは高くなるかと思います。スターバックスでは他の部署と数値や施策を共有する際、どうされていますか?
濵野:スターバックスでは、デジタルマーケティング・マーケティングコミュニケーション・広報・商品開発など、色々な部署やチームからメンバーが参加して、一つのプロモーションを作り上げます。それぞれの立場でアイデアを出し合い、みんなで一緒にプランニングしていきます。
――理想的ですが、一方で非常に大変そうですね(笑)
濵野:社内のメンバーをかき集めるのは、けっこう大変です。しかし、「お互いやっていることをしっかり理解できる」といった声をよく聞きますね。
また、各部署からメンバーが参加することで、コンセプトを設定する段階からしっかり共有することができます。施策を進めていく際にも、コンセプトがブレないので、一貫したプロモーションを進めることができ、お客様により良い体験を提供することができます。
――パートナーの自主的な地域社会活動“コミュニティ コネクション”などといった取り組みも注目されていますが、こうした取り組みはどのような組織体制で行われているのですか?
濵野:コミュニティ コネクションは、店舗のある地域への日頃の感謝の気持ちを込め、地域をより元気にするために、店舗が自主的に行う活動です。コーヒーを通じて地域の人とつながるテイスティングパーティーや、お子様向けのキッズパーティーなど、年間8,000件以上の活動が行われています。
たとえば、町田の店舗では店舗近隣の介護施設との交流がきっかけで、市が開催する「認知症カフェ」に協力しています。これらはサポートセンター(本社)の指示ではなく、お客様・地域とつながるために、店舗パートナーが自分たちでできることを考えて起こした行動です。