DeNAの統合マーケティング事情を探る
MZ:アプリのディベロッパーの多くはデジタルでユーザーを獲得していくイメージが強かったのですが、最近ではTVCMや交通広告、OOHを見かけることが増えました。どのようにして、オフライン・オンラインの出稿度合いを変えているのでしょうか。
遠藤:施策単位で方針が決まっているわけではありませんが、タイトルごとのターゲット属性を見て、どういった体験をしていただくのがベストかを考えて配分を決めています。特にパターンが決まっているわけではないです。

橋本:ゲームアプリはデジタル商材のため、ユーザー獲得目的の広告はデジタルに寄ってしまう傾向があります。
しかしながら、ユーザーを生活者と捉えた時、日々の生活の中で、どのようなタイミング、チャネル、メッセージを選択すべきなのか。きっとその答えはデジタルのみでは完結できないと思うので、オフラインへの広告出稿も常に意識してプロモーション戦略を練っています。
アプリにも求められる、リアルなつながり
MZ:これまで担当した中での成功事例をお伺いします、橋本さんはいかがですか。
橋本:あるマンガ版権を扱ったタイトルでの事例があります。同タイトルは、そのマンガやアニメを小さい頃見て育った、主に40代の男性がメインターゲットです。
ユーザーインタビューや調査を何度も行っていく中で、当時熱中したあの気持ちをまた語り合いたいというユーザーインサイトが見えてきました。それを踏まえ、リアルの場を通じて、ファン同士のふれあい、運営サイドとユーザーが直接コミュニケーションを取ることのできるイベントを定期的に開催することにしています。
過去の開催は常に満員で、参加者からも「当時熱中していた頃の気持ちが再燃しました」と、ゲームだけでなくIP自体を盛り上げるという意味でも手応えを感じています。
MZ:どのぐらいの規模感、内容で行っているんですか?
橋本:会場によって様々ですが、東京だと4、500人規模です。それだけの規模でもチケットは完売するので、より大きい会場でも売り切る力は十分にあると思います。
内容は、当時放映されたアニメのオープニングテーマの本人による歌唱、原作著者の先生や、原作ファンのタレントを招いたトークショー、新刊とグッズの紹介や物販、ゲームに関する情報の初解禁を行ったりと、ゲームに限らずIPの情報を幅広く提供するようにしています。
イベントを通じて、ゲームの既存ユーザーや原作ファンの満足度と熱量を向上できるのはもちろん、我々がユーザーと同じ目線、空気、温度を感じることができ、ユーザーの理解がより深められるため、期待を超える体験を提供する糧にもなっています。