電通の海外本社である電通イージス・ネットワークは、世界59ヵ国・地域から収集したデータに基づき、「世界の広告費成長率予測」を発表した。今回は、2017年実績の確定と2018年予測の改定、2019年の新規予測を行っている。
初めてデジタル広告費がテレビ広告を上回る?
2018年の世界の広告費成長率を3.9%(前回予測、3.6%)と見込むことで、総広告費は6,135億ドルに達し、過去最高となる見通しだ。また2019年も、世界的にデジタル広告がけん引する形での堅調な成長(3.8%と予測)が見込まれる。
これにより、世界の総広告費はリーマンショックの影響を受けた2009年以来、10年連続のプラス成長見通しとなる。とりわけデジタル広告費は堅調で、今後も二桁成長が続くと予測している。その結果、2018年には世界の総広告費に占めるデジタル広告費のシェアは38.4%となり、初めてテレビ広告費を上回ることになる。そして、2019年には40%超となる見通しである。
オンライン動画とソーシャルメディアの成長が目立つ結果に
世界のデジタル広告費の成長率は、2018年に12.6%、2019年に11.3%と、二桁成長が続くと予測。そのけん引役は、オンライン動画広告とソーシャルメディア広告であり、2018年の成長率はオンライン動画広告が24.6%、ソーシャルメディア広告が21.6%となる見通しだ。
なお、モバイルデバイス向けのデジタル広告は、2017年にデスクトップPC向けを追い抜きデジタル広告費内のシェアは50.3%となったが、さらに2018年には52.2%に達すると予測している。
その結果、2018年には世界の総広告費に占めるデジタル広告費の割合は38.4%(2,306億ドル)となり、初めてテレビ広告費の35.5%(2,132億ドル)を上回ることになる。また2018年には、調査対象の59ヵ国・地域のうち、21ヵ国・地域においてデジタルが媒体別広告費でトップになると予測している。
五輪、ワールドカップなど大型イベントの影響が大
2018年の上方修正の背景には、主要広告市場における堅調な成長、特にデジタル広告の更なる拡大と、「2018年平昌冬季オリンピック・パラリンピック競技大会」「2018 FIFAワールドカップ・ロシア大会」「米国の中間選挙」など大型イベントによる貢献がある。
市場規模で世界1位、2位にある米国と中国に加え、西ヨーロッパの英国やフランス、また東ヨーロッパのロシアなどが堅調であることから、ラテンアメリカを除く全地域が上方修正となった。
一方、世界第3位の広告市場である日本は、緩やかで安定的な経済成長に伴い、2018年の成長率は1.5%を見込んでいる。前回予測の1.6%からわずかに下方修正したが、これは前年実績が予想を超えて着地(予測は1.0%、実績は1.6%)したことに伴うものだ。
【関連記事】
・2018年はデジタル広告費がテレビ広告費を上回る?世界の広告費成長率を予測【電通イージス調査】
・デジタル広告、テレビを抜き最大のメディアに モバイル広告費はPC上回る【電通イージス調査】
・2016年、世界の広告費の成長率予測を下方修正 電通子会社が発表
・前回に比べ0.6%下方修正/予想を上回り加速するデジタルシフト【世界の広告費成長率予測9月改定版】
・2015年世界のデジタル広告費、15.7%増の171億ドル増になるか【世界の広告費成長率予測】