チケットの売り上げが爆発、テレビの影響力はやはり大きかった
――スマホファースト戦略に取り組む一方で、昨年からはテレビでの露出も増えた印象があります。
葦原:我々のターゲットはテレビを見ない傾向にあると言いつつ、やはりテレビの影響はすごいなと思いましたよ。放送後は、ヤフーのリアルタイム検索ワードランキングで、上位20のうち19個がバスケットボール関連のものになっていましたから。さらに驚いたのは、今までに売れた数と同じ数くらいのチケットが、放送後3時間以内に売れて、完売が続出したことでした(参考ニュース)。
ですが一方でやはり、テレビを見ている人達の片手にはスマートフォンがあることを実感しましたね。テレビを見ながら、B.LEAGUEのサイトに行き、チケット購入に至るという行動が浮き彫りになったと思います。ですので、テレビとスマートフォンをハイブリッドでコントロールするのが、重要だと考えています。

――そんなにテレビ放送の影響は大きかったんですね。
葦原:ええ、スマートフォンだけでは、まだまだマスには届かないと思います。ナショナルブランドにしたい、全国の認知率を60~70%にしたいと思ったら、まだテレビは必要でしょうね。
DMP構築により進めてきたCRMの強化
――Webでのチケットやグッズの販売、アプリのユーザーデータをDMPに蓄積して、データ活用にも取り組まれていますよね。DMPの構築は、今どのようなフェーズまで進んでいますか?
葦原:各クラブチームのデータをB.LEAGUEで統合するところまで進んでいます。元々スポーツ業界は、一般的なビジネスに比べて3周くらい遅れています。我々がこれまでやってきたことは、データの統合であって、その目的はCRMの強化に近いものです。
確かに来場者数は伸びましたが、DMP構築による重要な成果は、その裏にある「お客様の購入単価のアップ」だと思います。お客様の購入単価が上がっているということは、経営の安定を意味するので、データの統合に取り組んできた意義は大きいですね。
――蓄積したデータを、どのような形で顧客に還元しているのですか?
葦原:観戦者やグッズを購入してくれた人、サイトやアプリを見てくれている人へ、情報提供を通してアプローチをしています。ですが今は、B.LEAGUE内のデータを集める時期にあると考えています。
また私は、データを使ったマーケティングの本質は、BtoBにあると考えています。たとえば、データを材料に、スポーツ系のアパレルブランドや大手スポーツジムなどと新しいビジネスを作ることも可能です。顧客の行動分析なども大事なので、企業によってデータの使い方は様々ですが、私は何か新しいビジネスを創造することがデータ活用の本質だと思います。