デジタルマーケへの波及効果/マーケターは今が頑張り時
「Madison」は、テレビCMのみを最適化するのではない。テレビCMにリアルタイム性が加わることで、デジタルマーケティングの価値も上がっていくと、有吉氏は言う。テレビ広告にはない“柔軟性”が、デジタルにはあるからだ。
たとえば、特定のエリアで競合企業が一気にGRPを上げてきた時に、その地域に向けたデジタル施策を機動的に拡充することができる。デジタルだけでなく、DMを配布したり、店頭価格を下げたり、店頭プロモーションを展開することも可能だ。
一方で、懸念事項もある。ただでさえ、マーケターの人手不足は多くの企業の共通課題。ここでさらに新しいデータが出てきても、その分析に割けるリソースはなく、手一杯なのではないだろうか?
この点に関して、牛込氏は「人手不足は切実な問題ではあります。ですが、時代の流れ的に、今が頑張り時なのではと思っています」と語る。テレビCMがデータで可視化されることで、一つひとつの施策に意味が生まれ、ポジティブな議論が生まれてくるそうだ。
実際に、日本コカ・コーラでは、平昌オリンピックやワールドカップなどに合わせたテレビCMキャンペーンを継続して行っている。これは、その効果をマネジメント層やボトラー社、テレビ局にデータで提示できたことで、積極的な議論が各々でなされ、相乗効果が生まれた結果である。
最後に有吉氏は、次のように述べて、セッションを締めくくった。
「今はデータドリブンマーケティングという言葉が先行しており、それに対応する組織・予算のほうがまだ追いついていません。ですが、テスト的にスモールスタートすると、予想外の変化があるはずです。
日産自動車は、車種ごとのエリアマーケティングに『Madison』を活用しています。毎日100人くらいの社員が『Madison』を見るようになると、社内でも積極的な会話が生まれるようになったそうです。スモールスタートでも構いませんから、過去4年分のデータも合わせ、ぜひ活用してみてください」(有吉氏)