多くの企業がぶつかる課題「部門間の連携」を改善するには
――デジタルの発展によって、アナログを組み合わせた施策もデータドリブンでPDCAを回していけると。ただ、デジタル×アナログというコンセプトをマーケティングに導入すると、既存の部署間の連携が発生するケースも多いかと思います。その際、一気通貫でPDCAを回していくのに困難が生じそうですが……。
村尾:はい、我々のお客様も、部門間の連携に悩むケースが多いですね。マーケティングはそもそも企業ごとに取り組んでいる環境が違いますが、一つ大きな観点として「マーケティングを事業部内で推進しているのか、それとも事業部をまたがって推進しているのか」ということが挙げられます。
前者は事業部ごとのマーケティングなので、事業部に予算がありゴールも共有できるので、デジタルとアナログを組み合わせたときもPDCAを回しやすいです。難しいのは、後者ですね。A事業部、B事業部、C事業部……と複数の事業部に、マーケティング部が横断的に関わって支援しているようなケースです。
――そうなると、複雑になってきますね。
村尾:この場合、共通基盤を一度に全事業部に使ってもらうのは難しいので、一つの事業部でスモールスタートして先行事例をつくり、成果を可視化してから横展開することを勧めています。我々のお客様にも、大手企業で足掛け6年にわたり地道に進めているケースがありますね。
アナログは「ファーストステップ」に取り入れるべき
――では、デジタル×アナログ施策を展開する際、どのようなポイントがありますか?
村尾:前述のようにBtoBでは、ほとんどがデジタルだけでは成約せず、最終的には対面の商談というアナログな接点が必要になります。ですが、我々はファーストステップに置かれているアナログ施策の取り扱いを重要視するべきだと考えています。
アナログ施策は展示会やセミナーが主になってきますが、これが最初にあると、企業の中で課題が顕在化して検討段階に入ったときに想起してもらえる率がぐっと上がります。
――ただ、展示会で情報収集している段階だと、まだリードになるかもわからない、温度が低い状態である場合が多いのでは……?
村尾:そうなんです。でも考えてみると、たとえばMAが今必要だとわかっている顧客は自ら検索するので、SEOなどデジタル施策で獲得して距離を縮めていけますよね。展示会で接触したいのは、むしろそうではない、まだ課題やニーズが顕在化していない潜在顧客なんです。
BtoBの商材は、一度接触したからといって、その後いくら営業やデジタルでアプローチしても、本当に必要になった段階でなければ企業は動きません。だからこそ、アナログなファーストステップで価値ある体験を提供し、そこで差別化しておくことで、必要になった段階での想起率を高められるのです。