ファンケルの機会損失を解消
次に樋口氏は、オンラインの顧客体験を可視化する「IBM Tealeaf Customer Experience on Cloud」の事例として化粧品・健康食品メーカーであるファンケルの事例を紹介した。
IBM TealeafはWebサイトやモバイル・アプリのセッション情報を記録し、これを再現することでユーザーがどこで操作につまずいているのかを可視化できる技術だ。ファンケルではこれを、つまずきが多いクレジットカードのセキュリティコード入力で活用した。
クレジットカードのセキュリティコードは、カードの裏側にある3桁か4桁の数字でコンバージョンまで後一息の決済画面で必要になる。このセキュリティコードだが、どこにあるのか、なんなのかを知らない人も多く、月に約3,000人がセキュリティコード入力でつまずいていたという。
IBM Tealeafを使って分析してみると、郵便番号や電話番号を入力している顧客がいることがわかったため、セキュリティコードの場所を説明する画像を挿入。これによりエラーが0件になったという。これにより、購買機会の損失を解消することができた。
別の顧客では、画面遷移の段階でバグにより日付がリセットされ、最初に入力した日時で予約が入っていなかったなど、様々な例を挙げた。いずれも「アクセス解析のGA(Google Analytics)やAA(Adobe Analytics)の定量的な分析ではわからない」と樋口氏。
顧客サポートに電話をしてきた時、お客様はどのような操作をしたか覚えていないこともあるため、聞き取りは容易ではない。しかし、IBM Tealeafによるリプレイなら問題を再現できることから、コールセンターでも重宝しているという。なお、お客様の個人情報は見えないように予めマスク処理しておくため、安心だ。
チャネルをまたいだ顧客体験を可視化
続いて樋口氏が紹介したのは、マルチチャネルでのカスタマージャーニーの分析についてだ。顧客行動分析、顧客体験管理、顧客ジャーニー分析などを併せ持つ「IBM Watson Customer Experience Analytics」は、オープンなクラウドベースの双方向のサービス連携を実現する「Universal Behavior Exchange(UBX)」を活用することで、購買に至るまでのジャーニーを可視化する。
例に取ったのは自動車ディーラーだ。自動車を買うにあたって、通常消費者はスマホで情報を調べる、店頭で相談する、試乗するなどを経て購入に至るが、「購買に至るカスタマージャーニーをどれだけ可視化できているだろうか?」と樋口氏。車検前にパーソナライズされていないメールを送る程度でとどまっている、そんな企業が多いのではないかと指摘する。
「Customer Experience Analytics」は、様々なチャネルの顧客体験を統合し可視化できる。顧客がどのチャネルで時間を費やしているのか、チャネルごとでどのように行動しているのか、などを把握することが可能で、行動を段階的に掘り下げることもできる。これにより、適切なタイミングでデジタル施策を打つことができるという。
その結果、たとえばディスプレイ広告から入ってWebを回遊し、来店試乗、その10日後にFacebookで再来店を促すプッシュ通知をすると、2日後に来店して契約というパターンなど、様々な購買パターンが可視化できる。その上、各パターンにおける平均単価、期間、車のタイプ、顧客層などの傾向がわかってくるという。これがあれば、次の施策改善に役立てられる。
最後に樋口氏は「マーケティング、コマース、サプライチェーンとそれぞれで違う課題を抱えているが、IBMはフロントからバックエンドまでつなげることができ、事業全体を支援できる」と語り、講演を締めくくった。
ファンケルも活用しているIBM Tealeaf、その実力は?
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