デジタルの扱いがうまくなるには
――クライアントさんの世間的なイメージもキャッチアップしているわけですね。
そうですね。公式Twitterやキャンペーンのテンションはウォッチしています。
――デジタルキャンペーンを展開するにあたり、クライアントさんに「こうしてほしい」というリクエストはありますか?
いい意味で、それぞれの領分を侵さないことが必要だと思っています。たとえば僕らは、商品についての知識やブランドの姿勢について、クライアントさんの持っている知見には絶対に敵いませんし、それを越えて意見することはありえません。僕らができることは、たとえばドラマを作る場合は、いい監督のアサインやキャスティングであって、そこは広告代理店の領分です。そして実際の制作については、監督さんの責任なので、それを信じてお任せする。過去の経験からいっても、このように、それぞれの領域に対して権限委譲がうまく行われると、相乗効果でいいものが生まれていくんです。
デジタルは「すべて」、今後はエンタメ起点の企画にも意欲
――通常の4マス広告と、デジタルクリエイティブやキャンペーンとの最大の違いはなんでしょうか。

4マスは、新聞・雑誌・テレビ・ラジオですよね。これらは基本的にフォーマットが決まっているものです。
それに対してデジタルは、4マスに対して「5番目のメディア」として扱われていますが、僕自身はこれら4つすべてが一緒になったもの、または4マス以外のプラスアルファが合わさって「デジタル」だと思うんです。いうなれば、「フォーマット化されている4種類」か「フォーマット化されていないすべて」という違いです。
デジタルは、簡単にいうと接触面に「デジタル」があればいいんです。たとえば、インスタ映えするようなイベントを開催し、それがデジタルの力で拡散していけば、立派なデジタルキャンペーンになりますよね。要は、どういうKPIを設定し、それに対してデジタル面でどのようにリーチするか、その設計がポイントだと思います。
――今後、畑中さんはデジタル分野でどんなことに挑戦したいですか?
広告という概念を超えて、エンターテインメントに向き合いたいと思っています。お客様がお金を払ってでも見たい、体験したいというものを作っていくことですね。今は「広告」が起点となり、おもしろくなるような企画を立てていますが、そうではなく、エンターテインメントから考えて、それが結果として企業のブランド力向上につながればいいなと思います。