MQLからSALへのギャップをなくす
――BtoBマーケティングでは、よくマーケティングと営業との壁が課題になりますが、営業サイドもこの流れを理解しているのですか?
全体の理解が理想ですが、最低限MQL(Marketing Qualified Lead)がホットリードだとわかってくれればいい。ホットリードを受け取る確率は、以前よりぐっと高くなりました。MQLからSAL(Sales Accepted Lead)へのギャップが小さくなったことは、少なくともMQLに意義があることが営業にわかってもらえている証しだと思います。
――昨年11月、顧客のデジタルトランスフォーメーションを実現する専門人材を2018年度中に1,000人に増やすと発表されました。この進捗と、他に強化している職種があれば教えていただけますか?
データサイエンティストを含めたデジタル人材は、既に1,000人を超えています。外部人材の採用は他社の需要も大きく、採用できる数に限りもあるので、素養のある社内SEからの育成にも注力しています。顧客の各業種に即した業務ナレッジを持っていることは強みになりますね。
他には、BtoC事業で活躍していたデザイナーを大切にしています。現在、企業のあるべき姿をデザイン思考で導き出す共創プログラムにも力を入れていますが、そのときに右脳型のアプローチをリードできる人はとても貴重です。かつてのプロダクトデザインの力も、顧客との価値創造における当社の資産として活かしていく考えです。
永続的に関係を築くそのカギは顧客満足度
――最後に、御社の成長戦略について、今後の展望をうかがえますか?

当社の成長に向けて2つの柱があります。「NEC Safer Cities」と「NEC Value Chain Innovation」の実現です。「NEC Safer Cities」では、顔、虹彩、指紋・掌紋、指静脈、声、耳音響など当社の生体認証「Bio-IDiom(バイオイディオム)」を活かしたパブリックセーフティ、ヘルスケア、デジタルガバメントなどで安全安心な都市づくりに貢献します。「NEC Value Chain Innovation」では、たとえば消費者の需要を読んだ供給の最適化があります。特に食糧は、日本で廃棄される食料の半分は事業系と言われる製造から流通までの過程で発生していて、過剰な生産や売れ残りが原因と言われていますから、変革の余地が大きいですね。
もうひとつの柱は前述したビジネスの転換、自社ソリューションのサービス化です。その際にカギになるのは顧客満足度です。今、カスタマーサクセスという言葉も出始めていますが、それを踏まえてCSの組織もマーケティング部門に加えました。あらゆる接点で顧客の不満やさらなる要望を把握し、ときに先に察知して解決して、永続的な関係構築を目指していきます。