情報共有する際に必要な3つのスタンス
「見せる=情報共有」に関して、広告主が取るべきスタンスは以下の3つです。
・見せなかった時点で、プロジェクトは失敗する
・自分が持っている情報は、相手にとっては意外と重要である
・すべて一気に見せない
見せなかった時点で、プロジェクトは失敗する
繰り返しになりますが、肝心な情報になればなるほどプロジェクト成功に必要な情報であることが多いです。社会人なのですから、契約や信頼関係を鑑みつつも、許容できる限界まで情報は開示すべきだと思います。
もちろん、機密情報や本当に出してはいけない情報はNGです。ただ、事業戦略やKGI、KPIは間違いなく伝えましょう。ここを隠した時点で、プロジェクトは負のスパイラルへと陥り、失敗します。
その時に、「自分の評価はどうすれば上がるのか」という視点でもインプットをするとお互いハッピーです。
自分が持っている情報は、相手にとっては意外と重要である
その情報が貴重かそうでないかを決めるのは受け手です。「この情報は不必要だな」と判断したものが、広告代理店やベンダーにとっては重要だった、なんてことは本当によくあります。しかも多くの場合、情報が悪いのではなく、それをうまく加工できていない広告主が悪いのです。
ですので、スタンスとしては「相手にとっては重要かもしれないから、迷ったら一旦共有しておこう」くらいがちょうどいいと思います。それくらい、広告主が持つ情報の中にはダイヤの原石が数多く眠っているのです(玉石混交ではありますが)。
すべて一気に見せない
しかしながら、広告代理店・ベンダーの方に思考してもらうことも大切です。というのも、広告主から出すデータや方針は「答え」になってしまうことが多く、思考をストップさせてしまう恐れがあります。そのため、すべての情報を一気に見せるのはNGです。
この問題の解決方法は情報共有のタイミングを少し遅らせることです。つまり、広告代理店・ベンダーにある程度考えてもらった後、広告主としてのデータや見解を共有し、アイデアをブラッシュアップしていくということです。こうすることで、必ずと言っていいほど相乗効果でいいアイデアが生まれます。
福田式、代理店・ベンダーへの情報共有のすすめ
スタンスについて解説したところで、私が実際に実践している取り組みをご紹介したいと思います。即実践できるものもあるので、ぜひ活用してみてください。
「ひけらかし勉強会」を開催する
私は基本的に、発注後のプロジェクト開始前に「会社の現状・事業戦略」「商品・サービスのラインアップ、特徴」「このプロジェクトに期待すること」について、2時間程度かけて説明する場を設けています。
「オリエンテーションと何が違うの?」と疑問に思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、あくまでオリエンテーションは提案時、プロジェクト開始前のケアです。提案後、プロジェクトが始まった後に、広告主から情報共有会を設定することはあまり聞いたことがありません。
私はこの場を勝手に「ひけらかし勉強会」と呼んでいます。これにより「このプロダクトやサービス知らなかった!」がなくなるだけでなく、「このサービスの魅力がわかった」「このプロダクトとサービスを組み合わせると強い訴求になる」といった、我々が今まで気づけなかったことを発見できます。
また、細々と伝える手間も省け、インプットが体系的かつ効率的にできるのも良い点です。お互いにとって間違いなくやった方がいいと確信していますし、評判もいつも上々です。
オリエンテーションリストを自ら公開する
これも変わっていると言われるのですが、オリエンテーションを依頼すると聞かれることは決まってるので、リスト化して配っています。
これをすると、バラバラと聞かれる手間がなくなるのはもちろんなのですが、広告代理店・ベンダーに対し均一な情報提供ができるので、お互いにメリットがあると思います。もちろん、追加の質問があれば随時追加していき、それも合わせてオリエンテーション後にアップデート情報として配るようにしています。
欲しいと言われたら一生懸命探して、出す
プロジェクト開始前も開始後も、必ずデータや資料が欲しいと言われます。忙しくて面倒な時が多いとは思いますが、一生懸命探して提供しましょう。きっと、その手間が後で役立つ瞬間が来ます。
前述の通り、その情報が貴重かそうでないかは、受け取った側が決めるのです。