広告・宣伝費を超えた効果で高い売上を実現
では、商品売上にはどのような影響があったのか。キャンペーンを開始した2月から結果発表のあった9月までで見たところ、2017年度と大きく変わらない数字だったという。ただこれに対し酒見氏は「テレビCMを積極的に出稿していた2017年と同様のパフォーマンスを獲得できているのが成果として大きい」と語る。
「時期によっては売上向上が2ヵ月程度継続し、前年同月比140%を出したこともありました。これは長期にわたり、話題を提供していった結果だと思っています。流通の方々も次にどんな施策をするのか気にかけてくれて、期待値が上がっているのも嬉しい悩みです」(酒見氏)
加えて、酒見氏は「Twitterアカウントを立ち上げたことで、フォロワー数としてファンの数が見えるのは大きな資産」ともした。今後もファンにアプローチできる媒体として、Twitterに大きな期待を寄せているようだ。
ちなみに、ここまでの結果を出せたのは、ブランドからの発信だけでなく、外部メディアによるTwitter上の話題をもとにした記事での情報拡散や、外部メディアが運営しているTwitterでの発言が話題の起点になったりと、外部の力の助けも大きいと酒見氏と内田氏は明かした。
テレビ露出が34番組(68回、ラジオ2番組含む)、新聞・雑誌は46記事、Web露出1,500記事以上と広告換算すると圧倒的なPR効果になったことに加えて、取り上げられた論調もキャンペーンやブランドを真正面で捉えていただき、非常にポジティブでユニークなものになったという。
「デジタル施策を主軸にしたとはいえ、テレビの力は大きいと感じています。番組で取り上げてもらうには巷で話題となっているほうが取り上げやすいですし、突っ込みどころもあるほうが良いわけですが、我々にとっての巷がTwitterだったわけです。ですので、話題作りには力を入れました」(酒見氏)
元気を与えられるようなお菓子に
最後に今後の展望を両氏に聞いた。内田氏は「利用者とブランドの対話を活性化したい」とした。
「今後対話を活性化させる上で欠かせないのは、コアなファンを見つけることです。たとえばファンミーティングを行い、その中で出てきた声をもとに商品開発を行ってコミュニケーションをしていくといった取り組みを通じて、ブランドと利用者の間の絆を深めていきたいですね」(内田氏)
「今後も、今回のような広告・宣伝費以上の成果を出せる仕掛けを考えたいですね。宣伝費は有限である以上、いかに工夫できるかが重要です。そのために、今回作り上げたファン基盤を拡大していきつつ、お客様とのコミュニケーションを活性化したいです。最終的には、きのこたけのこブランドを介した会話でお客様に元気を与えられるようなお菓子として役に立ちたいです」(酒見氏)
今回のキャンペーンで長年の“きのこたけのこ論争”に決着がついたかと思われたが、いまだに関連のツイートは多く発生している。両社が今後どのような取り組みを行うのか、非常に期待が高まる。