SHOEISHA iD

※旧SEメンバーシップ会員の方は、同じ登録情報(メールアドレス&パスワード)でログインいただけます

MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

直近開催のイベントはこちら!

MarkeZine Day 2025 Retail

「リアル店舗×デジタルマーケティング」の最前線

『買うだけならネットでできる』オイシックス・ラ・大地 奥谷氏に聞く、今「リアル店舗」に求められる役割

オンライン→オフライン→オンラインを生み出すデジタル施策

原嶋:「デジタルを活用したカスタマージャーニー」に沿った施策とは、具体的にはどのようなものでしょうか。

奥谷:具体的には、「O to O to O(オンライン to オフライン to オンライン)」を生み出す施策に挑戦してほしいと考えています。「O to O to O」とは、YouTubeや、アプリ、キャンペーンサイトなど、オンライン上の施策をきっかけに店舗(オフライン)へ足を運んでもらい、そこで体験したことを写真などでSNS(オンライン)上に拡散してもらうような施策のことです。

 たとえば前職の良品計画時代には、有楽町の無印良品の店舗を使って、クリスマス施策として、商品である「お菓子の家」を使って街を作り、ジオラマとして店内に展示。撮影をOKにして、TwitterやInstagramへ写真を投稿してもらうよう促しました。他にも、2年間無料で無印良品の家に住んでくれる人を募集したモニターキャンペーン「ぜんぶ、無印良品で暮らそう。」や、レトルトカレーの無料試食会「カレーなる無印良品キャンペーン」なども「O to O to O」の施策として実施しました。

 「O to O to O」の流れが生まれるというのは、それだけ「お客様の心を動かせた」ということです。どうすればお客様に「オンラインとオフラインを行き来したい」と思ってもらえるか」この視点から、新たな施策に挑戦してほしいですね。

企業にとって意味のあるKPIを設定する

原嶋:なるほど、非常に興味深い取り組みです。KPIはどのように設定したのですか? 小売業界でチャレンジングな施策が生まれにくい要因のひとつに、デジタル施策のKPI設定ができず、社内の承認を得られないということがあると思うのですが。

奥谷:KPIは、その企業にとって意味のあるものにすることが重要です。私は、良品計画時代に「ソーシャルメディアアクティビティレポート」というものを作成して、いいねの数やリツイート数をもとに、どれくらい拡散されたかをWEB用語を使って説明していたことがありました。しかし、このやり方では、会社の上層部にはなかなかうまく伝わりませんでした。

 そこで、方法を変え、いいね・リツート数を金額換算し、どれくらいのバリューを生み出しているかを算出しました。当時、無印良品ではチラシも刷っていたので、チラシ1枚にかかる印刷コストを活用してバリューを割り出しました。具体的な数字を出して、広告バリューを見せる。そうすることで、上層部にも理解しやすく、受け入れてもらいやすくなりました。

原嶋:成果を広告価値に換算すると説得力が出ますね。

奥谷:他にも、KPIの測定として私がMUJI passportリリース前によくやったのは、クーポン発券機を店舗に設置して、URLやバーコードを読み取り、来店客数をカウントする方法です。お客様には、くじ引きのような仕組みを用意し、お客様ごとに個別のバーコードを発行したメールを送りました。そのようなクーポンを発券機で発行することによって、来店人数が明確にわかります。1店舗から始め、結果が出てきたら、設置店舗を増やしていきました。この発券機の施策が今の「MUJI passport」につながっています。

 いろいろな制約があると思いますが、それでも、できることはたくさんあります。小さなことから始め、結果を積み上げながら、大きな施策に広げていくことが大事なのではないでしょうか。

原嶋:「MUJI passport」も、始まりは本当に小さな施策からだったんですね。「小さく始めて、大きく広げる」、この言葉を心に刻みたいと思います。本日はありがとうございました。

この記事は参考になりましたか?

  • Facebook
  • X
  • note
関連リンク
「リアル店舗×デジタルマーケティング」の最前線連載記事一覧

もっと読む

この記事の著者

原嶋 宏明(ハラシマ ヒロアキ)

Patheeマーケティングマネージャー。大学卒業後Webディレクション、プロダクトマネージャーを経験。前職で動画制作プラットフォームCrevoの立ち上げを経験。現職ではマーケティングから組織構築、広報まで幅広い領域を担当。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

まきだ まどか(マキダ マドカ)

コピーライター事務所勤務を経て、2014年よりフリーランスのコピーライター・ライターとして活動をスタート。多岐にわたる分野でコピー、ネーミング、コンセプトワークなどを手がける。ビジネス、広告クリエイティブ領域を中心に取材・執筆活動を行うライターとしても活動中。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

この記事は参考になりましたか?

この記事をシェア

MarkeZine(マーケジン)
2019/01/31 09:00 https://markezine.jp/article/detail/30191

Special Contents

PR

Job Board

PR

おすすめ

イベント

新規会員登録無料のご案内

  • ・全ての過去記事が閲覧できます
  • ・会員限定メルマガを受信できます

メールバックナンバー

アクセスランキング

アクセスランキング