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【攻めを守る】広報担当者が意識すべき万一への備え

防ぐことができない外部要因によるリスクにどう立ち向かうか

 さらに、外部環境によって生じてくる守りの広報もあります。たとえば不正アクセスといった他者からの攻撃というケースもありますし、同業他社で問題が起きると、対応はどうなっているのか問い合わせがくるケースも大いにあります。

 そのため、ニュースやSNSなどで話題になっていることにもアンテナを張り、他社の問題でも、同じような商品やサービスを提供している場合、自社はどういう体制になっているのか、対策をした方がいいのかなどを把握し、必要であれば対応策を講じます。これも、事業部や人事、法務といった他部署との連携が欠かせません。問題があった時の対応はもちろんですが、問題が生まれないようにすることも守りの広報の大切なスキルです。

社会的な経済危機、災害の際も必要となる対応

 また、ネットバブル崩壊のような業界の逆風、リーマンショックに代表されるような社会的な経済危機、また東日本大震災のような災害といった、多くの会社が関係する危機もあります。この時も、他の会社も同様の状況だから、とぼんやりと構えてはいられません。こういったことが起きた時、企業や業界、社会にどんな影響があるのかをメディアは取材し、伝えようとします。

 ここでもスピーディに状況把握をし、見通しをたて、社内外に情報伝達を行い、同時に対策を講じなければなりません。サイバーエージェントでは、大阪支社で面接を予定していた日に大阪府北部地震が起きました。面接予定者へ個別に連絡を取った他、人事担当と役員のTwitterからも面接中止を呼びかけました。社員の安否確認や営業状況、面接予定者の人数やその対応などについてもメディアから問い合わせがあり、人事と連携しながら状況把握を行い回答するという場面がありました。

災害時、Twitterで面接中止を告知。(退職者の投稿のため、本人の許諾を得た上で一部加工しました。)
災害時、Twitterで面接中止を告知。(退職者の投稿のため、本人の許諾を得た上で一部加工しました。)

 さらには、災害等多くの人に被害が起きるような事態になった場合、広告出稿の自粛やプレスリリーススケジュールの見直し、SNSでの投稿をどうするのかなど、多くのことを決めていかなければなりません。ここも広報主導で判断をし、経営とコンセンサスを取る必要があります。社内に危機管理委員会といったチームがあれば、そことの連携もあるでしょう。また対外的な情報発信の対応策だけでなく、不安になる社員に向けた社内広報も必要になってくるかもしれません。このように、単なるメディア対応だけでなく、あらゆるステークホルダーとのコミュニケーションを担うのが広報である、ということは改めて意識すべきことだと思います。

「攻めを守る」ために

 サイバーエージェントの全社機能では「攻めを守る」という言葉があるのですが、会社として、事業として思いっきり攻められるように、小さなリスクの芽を見つけて事前に手を打つことを日々行っています。どこかで足を引っ張られ、守りに失敗すると、「攻め」てきたことすら帳消しになってしまうからです。そのために、日々SNSでのモニタリングを行い、社内の必要な部署と連携しながら対応策を練ったり、他社事例を基に社内をチェックしたりといったことを行っています。

 サイバーエージェントもまだまだ完璧にはできていませんが、企業価値を高めるために社会が自社をどう見ているかをきちんとフィードバックしていくことも重要な広報の役割の一つであると考え、「守り」のことも意識した活動を行っています。

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この記事の著者

上村 嗣美(ウエムラ ツグミ)

株式会社サイバーエージェント 全社広報室 シニアマネージャー
大学在学中、当時社員数30人だった株式会社サイバーエージェントにて内定者アルバイトを開始。2000年に入社、社長秘書と広報を兼務で務めたのち、2005年に同社初の専任広報担当として広報部門を立ち上げる。
企業広報からBtoB 事業における広報...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2019/03/19 08:00 https://markezine.jp/article/detail/30236

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