O2O施策のカギは「めんどくさい」!?リアル店舗が取り組むべきこと

株式会社ビジョナリーホールディングス 執行役員 デジタルエクスペリエンス事業本部 本部長 川添 隆氏
続いて「オムニチャネル対談」では、コメ兵 執行役員の藤原氏とメガネスーパーをはじめとする7社を束ねるビジョナリーホールディングス 執行役員の川添氏が、O2O領域を展開する上で気をつけていること、そして2019年以降に注目すべきことについて語った。
O2O施策を展開する上で気をつけていることについて、藤原氏は、今の消費者は「めんどくさい、かつ時間が足りない」状況に置かれていると説明。
「お店に行くのも、コンビニで財布を取り出し、小銭を出すのもめんどくさい。だからCtoCのサービスは、お客さんの時間を奪わないことに気を遣わなければいけない。リアル店舗は、お客様に『めんどくささ』をどう乗り越えてもらうか、そこに集中する必要があると思っています」(藤原氏)
本来店舗で行う必要のないことをデジタルによって省き、本当に提供したいことだけを店舗で提供することが大切だという。
コメ兵では、「Virtusize(バーチャサイズ)」というサービスを導入し、自分が持っている服と、購入している服のサイズを比較し、ちょうどよい大きさの服を見つけられるようにしている。これにより、デジタル上で試着の代わりができるのだ。
川添氏も「商材によって行動が違うところがあるので、切り分けはある」としながらも、コンタクトレンズのようなロイヤリティが低い商品については、少しの時間でも節約できるようにすることが「店舗を選ぶ際の生命線」になると自身の考えを話した。
メガネスーパーでは、そうした商品の購入に関して、LINE APIアカウントを利用し、自分が使っているコンタクトレンズの商品、度数を登録した後に、顧客が買い物をしたい位置情報を送信すると、在庫がある近くの店舗から表示し、取り置きができるサービスを構築しているそうだ。
5Gの実用化 小売りではボイスとVRがカギ
同セッションでは、両氏が2019年以降注目していく事柄についても議論された。
藤原氏は、2020年の「5G実用化」に向け、2019年のうちにできるだけ情報を収集し、O2Oへの展開を考える必要があると説いた。その中で、藤原氏が小売業で活用できると想像しているテクノロジーが、ボイスとVRである。
ボイスの領域では、これから、検索が話し言葉になるという変化が生まれる。それに対して、事業者が検討すべき観点が2つあるという。
「LINEやグーグルといったプラットフォームで上位に出るという面の部分がひとつ。もうひとつは、自社のメディアやツール上で、ボイスによってお客さんの課題解決をするという観点があります」(藤原氏)
続けて、VRに関し藤原氏は、2021年に各種の実証実験が始まり、2023年頃には大企業が利用できる状態になっていると予想。5GによってVRの「カクつき」が低減するため、店舗での行動をVRが代替できるようになるだろうと話した。
一方川添氏は、人材不足の状況でも生産性を高めていくために「予約」の周辺領域に注目したいと話した。
「現在展開している予約システムは単店舗に閉ざされていて、『この件の予約が行きます』ということくらいしかわからない。今年中には、どの店舗にどのくらいの予約が入っているのかリアルタイムで把握し、予約が集中している店舗には、スタッフがヘルプに行けるような体制まで実現させたいです」(川添氏)
2019年も活発な動きが見られそうなO2O領域。その動向に、引き続き注目したい。