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統括編集長インタビュー

捨てる戦略とユーザーファーストの徹底 再成長を牽引する一休“データドリブン社長”の信念

 2017年度、前年比145%の取扱高増。新興企業ではない、ホテル予約サービスの草分けとも言える「一休.com」は、高級志向をさらに絞り込み、創業19年目にして過去最高の成長を達成した。業界全体が踊り場になる中で同社も成長鈍化に陥っていたものの、多角化ではなく本業を強くすること、特にロイヤル顧客にフォーカスすることで事業を伸ばしたのが、榊淳社長だ。「『ユーザーファースト』の姿勢を徹底している」と語る榊氏の辣腕に迫った。

成長鈍化から一転、過去最高の取扱高へ

株式会社一休 代表取締役社長 榊 淳氏
株式会社一休 代表取締役社長 榊 淳氏

押久保:御社は高級志向のホテル・旅館の予約サービス「一休.com」を2000年から運営され、今では「一休.comレストラン」や「一休.comスパ」など複数の予約サービスで多くのユーザーを擁しています。2016年2月にヤフー傘下になってからは、「一休.com」は1.5倍近い成長率で伸びているそうですね。業界としては、競合も多いですし、決して伸び盛りの市場ではないですよね?

榊:そうですね、オンライン旅行予約サイトの市場は全体的に成長鈍化の傾向にあるので、健闘していると思います。ヤフーとのシナジーもありますが、基本的に販売面は分けていますし、一休自体でも成長しています。IT企業で事業内容を変えずに再成長した例は少ないと思いますね。

予約単価は1泊約4万円、ユーザーの26%が年収1,000万円以上
予約単価は1泊約4万円、ユーザーの26%が年収1,000万円以上

押久保:その要因を、じっくりうかがっていきたいと思います。まず、榊さんは2013年に一休へ参画され、ヤフー傘下になり前社長の退任と同時に社長に就任されていますが、元々は金融分野のご出身なんですよね? 金融からコンピューターサイエンスを学び、そして経営コンサルというのはとても珍しいご経歴だと思いました。

榊:キャリアに関しては、あまりこだわりはないんですよね。川の流れに逆らわず、楽しそうだなと思って目の前のことに飛び込み続けて、ここまで来ました。ただ、元々大学院で応用数学を研究していて、数学と金融はけっこう密接なんですね。

 留学したスタンフォード大で学んでいたコンピューターグラフィックスは、実はデリバティブのトレーディングとまったく学問的にイコールです。トレーディング、株価の揺らぎは、実は物理の法則のブラウン運動に従っているんです。…でも、大学院卒業後に進んだコンサルティングには、まったく関係ないですね(笑)。

データサイエンスと企業経営の2軸で再成長へ

押久保:そうなんですね(笑)。なぜ、コンサルに?

榊:もっと学んだことに関係する会社に行きたかったんですが、採用が厳しくて。食事付きに引かれてボストンコンサルティンググループのパーティーに参加したら、運良く拾ってもらえたんです。

 はじめの数年は自分の力不足を痛感していましたが、あるときからうまくいくようになり、続いて2社目のアリックスパートナーズ時代に一休を担当することになりました。それで創業社長の森正文さんにお声かけいただき、2013年に正式に一休へ入社しました。一休には当然、膨大な顧客データがありますから、今ようやくデータサイエンスと企業経営という自分の2つのテーマが交わっている感がありますね。

押久保:なるほど、これまでの蓄積がまさに発揮されているんですね。一休に入社した頃は、伸び悩みの時期だったと聞きましたが、社長として何を変え、何を変えずにいこうと考えられたのでしょうか?

榊:その点だと、強く変えようと思ったことは何一つありませんでした。一休は、「こころに贅沢させよう。」というミッションの通り、お客様に贅沢で幸せな場を提供するというすばらしいビジネスを実践していて、それを愛し邁進する社員もたくさんいる。既に“良い会社”だったので、森さんが培った礎を拡大することに集中しようと思いました。その上でひとつ、「企業として強いか?」というと、問われるところかなと。言い変えれば、まだ成長する可能性があると考えたんです。

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この記事の著者

押久保 剛(編集部)(オシクボ タケシ)

メディア編集部門 執行役員 / 統括編集長立教大学社会学部社会学科を卒業後、2002年に翔泳社へ入社。広告営業、書籍編集・制作を経て、2006年スタートの『MarkeZine(マーケジン)』立ち上げに参画。2011年4月にMarkeZineの3代目編集長、2019年4月よりメディア部門 メディア編集...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2019/03/06 09:00 https://markezine.jp/article/detail/30455

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