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パルコが「実店舗の買い回りショップ数」を2倍にした方法とは?デジタル時代の小売ビジネスに迫る

2019/03/26 09:00

 Patheeの原嶋宏明氏が業界キーパーソンを訪ね、「リアル店舗におけるデジタル施策」や、これからの「リアル店舗の役割」について意見を交わしていく本連載。今回は、パルコの林直孝氏の元へ。事業戦略にICT活用を盛り込み、2010年代初期からデジタル戦略を進める同社。接客ロボットの導入や、店内の顧客属性をデータ化するカメラの採用など、その戦略は多岐に亘る。本稿では、パルコが目指す「新しい買い物体験」に迫ります。

「24時間PARCO」を目指して

原嶋:今年の秋には、いよいよ旗艦店舗である渋谷PARCOのリニューアルオープンを控えていますね。改めて、パルコが描く「理想の購買体験」について教えてください。

林:理想は、Webを起点に「お客様と常につながっている状態」を作り出すことですね。「24時間PARCO」というコンセプトを掲げています。

 たとえば、ギターを始めたいと考えるお客様がいたとします。ギターが買えるお店を検索し、通勤途中の池袋PARCOに楽器店があることを知る。そして、パルコのWebサイトでそのお店のブログを見つける。ギターに詳しいスタッフが書いたショップブログを読み、「この人に相談しながら、ギターを選びたい」と思って来店していただく。来店後は、「ブログを見て来ました」という言葉から接客がスタートする……この流れが、理想ですね。

株式会社パルコ 執行役 グループデジタル推進室担当 林直孝氏
株式会社パルコ 執行役 グループデジタル推進室担当 林直孝氏

原嶋:御社はいち早くショップブログを活用されていた印象です。

林:2013年に、PARCOに出店しているテナントごとに発信できる「ショップブログ」を全国のPARCOでスタートし、店舗在庫と連動したEC・「カエルパルコ」(現在は「PARCO ONLINE STORE」へ名称変更)を立ち上げました。ブログを活用しているテナントスタッフによると、「ブログを活用するかどうかで、接客のファーストステップがまったく違う」とのことです。

 ブログを見たうえで来店いただけるお客様は、目的が明確化されている方が多いので、接客がスムーズに進みます。理想は、スタッフ側も事前にお客様のニーズを把握できる状態を作り出すことなのですが、これは次の段階と捉えています。

ショッピングにまつわる前後の関係性をデジタルで滑らかに

原嶋:Webは「来店後」ではなく、「来店前」の接触ポイントになっているのですね。

株式会社Pathee ソリューション事業部 原嶋宏明氏
株式会社Pathee ソリューション事業部 原嶋宏明氏

林:その通りです。2014年秋にリリースしたパルコ公式スマートフォンアプリ「POCKET PARCO」から、個人を特定できない範囲で、アプリの閲覧位置や利用履歴がわかるようになりました。そのデータから、お客様は来店前にブログを見て来店行動されていることが、可視化できているんです。

 データを見てみると、よく行くPARCOを起点とした、鉄道路線沿いからの閲覧が多く、また、ブログのクリップ(お気に入り)数も合わせて分析すると、アプリ閲覧のピークは朝8時と夜の22時台、来店のピークは平日の場合18時台と、相関関係が見えています。

 買い物体験を、オイシックス・ラ・大地の奥谷孝司さんがおっしゃる「顧客時間」で考えると、お金を払う前後のコミュニケーションも大切です。パルコの場合は、アプリやブログから、興味・関心とクリップのアクションを促し、来店、接客が一連の流れ。重要なのは、この流れをいかに滑らかにし、店頭で楽しい体験を提供し、その後も継続的にお客様とつながれるかなのです。

原嶋:ショッピングにまつわる前後の関係性を滑らかに、楽しくするためにデジタルの力を活用されてきたのですね。

林:今や、お客様は何かしらネットに常時接続している状態です。スマホ中心の顧客時間のつながりを、意識をしなくてはなりません。それが、「ショップブログ」と「カエルパルコ」の始まりであり、「24時間PARCO」の原点です。

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