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MarkeZine Day 2025 Retail

「リアル店舗×デジタルマーケティング」の最前線

究極の購買体験は“人”が関与して生まれる/コメ兵 藤原氏が考える「デジタルの使い所」とは

MAは店員のLINEメッセージには敵わない

原嶋:ECを持ちながらも、店舗への誘導を意識されているのは、やはり店舗にはECでは作れない「体験」があるからなのでしょうか?

藤原:それはありますね。僕は元々店舗スタッフ出身なので、現場の力もよくわかります。店舗スタッフがお客様との関係性を築けているので、究極、デジタルで売らなくてもいいんですよ。

藤原:コメ兵はMA(マーケティングオートメーション)を導入していますが、いくらMAを使って「あなたにはこれがおすすめです」といったOne to Oneのメールアプローチをしたとしても、店員の「○○さんにおすすめの商品が入ったよ」というLINEにはかなわないわけです。

 これこそ、本当のOne to Oneじゃないですか。店員は、接客を通してこのお客様の「欲しいモノ」や「興味があるモノ」を把握しているので、商品が入った瞬間に、「○○さん、今日こういうの入っていますよ」と会社所有の携帯電話からLINEする。すると、「私、今から買いに行くわ」となるわけです。

 このストーリーが理想の形だと思うんですよね。これで1,000万円の商品が売れたりするわけですから。デジタルだけでは、1,000万円の商品はなかなか売れないですよ。

「店舗」での体験を良くするために「デジタル」で効率化を図る

原嶋:確かに、その金額になると実際に見てみないと怖くて買えないですね。

藤原:デジタル上でも「このお客様はこれを好むだろう」という予測のもとにレコメンドはできますが、「私、実はこっちが欲しかったんだ」というような気づきを与えることはできません。これは、人が関与するからこそ、生まれる体験だと思います。

原嶋:レコメンド機能はあくまで購買データに基づいたアルゴリズムなので、本当のOne to Oneではないんですよね。「○○さんのいつものテイストとは違うけど、似合いそうだからこれをお薦めしてみよう」とか「○○さんのもっているあの服に、このバッグが似合いそう」というようなレコメンドは、デジタルでは実現できない。

原嶋:コメ兵では、今春から鑑定にAIを活用する「AI真贋」の店舗導入も予定されていますよね。これによって鑑定の時間が大幅に短縮できると思うのですが、藤原さんは、購買体験において「デジタル化を進めるべきポイント」をどのように考えられているのですか?

藤原:購買体験では、「いかにお客様の煩わしさをなくせるか」が大事になってくるので、まずはデジタルに移せるもの、お客様が移したいものとは何かを見つける必要があると思っています。

 たとえば洋服屋にいったときに、5着を試着するのは大変じゃないですか。できれば1着でも満足感を得られるように、デジタルで事前に選べるといいですよね。ただし、実際にお店に行って試着をし、「自分に似合っている」と満足して購入するという体験自体は、なくしてはいけないと思うんです。店舗で良い体験をしてもらうために、デジタルで「スピードや効率」という部分を補う形が良いのではないでしょうか。

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「メルカリ」の登場が与えた影響

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この記事の著者

原嶋 宏明(ハラシマ ヒロアキ)

Patheeマーケティングマネージャー。大学卒業後Webディレクション、プロダクトマネージャーを経験。前職で動画制作プラットフォームCrevoの立ち上げを経験。現職ではマーケティングから組織構築、広報まで幅広い領域を担当。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

福島 芽生(編集部)(フクシマ メイ)

MarkeZine副編集長。1993年生まれ、島根県出身。早稲田大学文学部を卒業後、書籍編集を経て翔泳社・MarkeZine編集部へ。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2019/04/15 09:00 https://markezine.jp/article/detail/30721

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