業界のリーディングカンパニーとしてインハウス運用を強化
MarkeZine編集部(以下、MZ):今日はインハウス運用体制で成果を出している資生堂ジャパンさんにお邪魔しています。小椋さんが所属するEC事業部のミッションについて、教えていただけますか。
小椋:資生堂ジャパンのEC事業部ではオウンドメディア・外部ECプラットフォームとの取り組みやデジタルテクノロジーを活用したコンテンツ制作などを実行していますが、私が所属するオウンドEC推進室では総合美容サイト「ワタシプラス」に携わっており、その中でも私のチームはEC機能のブランド施策や売上構築に携わることが多いですね。
EC事業部は2010年に立ち上がったのですが、今でいうオムニチャネル構想を掲げていました。当時はO2Oと呼ばれ始めた時期でしょうか。
高瀬:ハートラスの高瀬です。2018年から資生堂ジャパンさんのインハウス運用の支援を行っていますが、御社は早くからデジタル上のコミュニケーション基盤を自社で持つ重要性に気づき、取り組まれていますよね。
小椋:はい。FacebookやInstagramをはじめとしたデジタルプラットフォームが拡大・多様化していく中で、リアルだけでなくデジタル上でもお客様と直接つながり、統合的に価値提供できるような仕組みを作っていく考えは、早くから社内にありました。その考えを具現化したのが「ワタシプラス」です。
小椋:「ワタシプラス」は単なるECサイトではありません。資生堂ジャパンとして美のソリューションを提供するプラットフォームです。美容情報や店舗情報、商品カタログなど、弊社が発信する美容情報をデジタルに集約した場であり、そのなかの1つのコンテンツとしてEC機能があります。
MZ:御社には多数のブランドがありますが、EC事業部とはどのような関係なのでしょうか?
小椋:各ブランドのメディアプロモーションやコミュニケーション設計は、メディア統括部が担当しています。EC事業部の中でも、私が所属するオウンドEC推進室では「ワタシプラス」におけるECやそれに関する広告設計を担っており、ブランドと連携しながら認知拡大からEC集客まで実施しています。さらにはこれらの取り組みをデータベースで一元化し、売上を上げるだけでなく一緒にブランドのファン創出を推進しています。
実は、店頭に来店されて「ワタシプラス」に登録された方は、店頭での翌年以降の再来店率・購入金額が上昇し、2年後3年後の継続率は倍近くになっていることがデータからも明らかになっています。これはすなわち、「ワタシプラス」というデジタル上のコミュニケーションによって、お客様とブランドの距離が近くなっていることの表れです。
MZ:お客様とデジタル上のコミュニケーションを継続的に続けていくには、“運用”という概念がともないます。小椋さんはそのパートナーに、なぜハートラスさんを選ばれたのでしょうか。
小椋:もともと社内で運用には取り組んでいたこともあり、ハートラスさんには“運用”という一部分ではなく、もっと手前の“体制構築”から手伝ってもらっています。元々私は店頭営業を長年担当しており、今のチームに異動してきた当初はデジタルマーケティングに関する知識はほとんどなかったため、ゼロから勉強してトライを続けてきました。
自前で進めてきたこともあり、成果は出ているものの、部分最適と全体最適のバランスがとれているのか、自信がない点も正直ありました。一度運用のプロに業界のものさしを教えてもらいたい。業界をリードしていくためにも、今改めてベースを固めたいと思い、ハートラスさんの手を借りて、組織体制や情報整備に取り組むことにしたのです。