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西口一希と考えるマーケティング視点の経営

「パラレルキャリアで複数事業に成果を生み出す」スマニュー西口×シンクロ西井対談


試すとすぐに数字に跳ね返るおもしろさ

西口:2000年代前半のECだと、本当に黎明期ですね。まだリスティング広告もない時代?

西井:そうですね。20人くらいの小さい会社で、しかも未経験だったんで、サイト制作やメルマガ書き、顧客のメール対応も土日含めてやっていました。忙しいのが僕は苦にならなかったんですが、僕の前にいたほとんどの先輩が次々辞めて、1年経ったら僕が現場のトップになっていて。全部引き継いでいったらおのずとPL責任も持ち、海外からの輸入を含めて商品の仕入れから売れていくところまでを全部見ることになっていたんです。

西口:なるほど、そこでもう事業責任の経験をしていたんですね。

西井:はい、今思えば全部浅いんですけど、浅いなりにお金の動きと影響する要因が全部見えましたし、試してみたことが目に見えて数字に跳ね返るのはおもしろかったです。

西口:それにしても未経験で、しかもほぼ全員辞めていくようなキツイ職場で、不安とかはなかったんですか?

西井:いや、海外での交通事故2回、マラリア感染2回に比べたら、僕にとってはまったく平和でした(笑)。そもそも、ちゃんと会社で働くには遅すぎる27歳のスタートで、周囲の友人たちにコンプレックスもあったので、やるしかないという覚悟はありました。それと、2年半遊んできたから、これからは仕事漬けでもいいかな、と。ただがむしゃらに仕事をしたかったんです。

メーカーECで“もの作り”から学ぼう

西口:その後、モバイルコンテンツの会社、そして成長期だったドクターシーラボに参画されたんですよね。

西井:はい、最初の会社に2年半、次の会社で1年ほど経ったころに友人からシーラボを紹介されました。2007年、32歳のときですね。起業しようと思っていたんですが、トップに「EC人材がいない、1年でいいから!」と言われてEC事業の責任者として入り、結局6年半いました。会長がすごくWeb好きな人で、話が合ったんですよね。

 それと、当時はAmazonがどんどん勢力を拡大していて、いわゆる小売業はAmazonに立ち向かえないと思っていたこともありました。メーカー直販しか今後は生き残れないんじゃないか、と。なので、メーカーとして直販を勉強したいな、と。

西口:確かに、当時はそんな状況でしたね。自身としては「どう売るか」は知っていても、「どう作って売るか」は知らなかったからメーカーに行った。

西井:そうですね。当時のシーラボの売上は約200億円、うち10%の20億円がECでした。ブランドができあがってきて、ECの追い風もあったのでまだまだいけると思って試行錯誤した結果、6年半で全体売上が350億円、うちECは100億円になりました。

西口:たとえば、どんなことをしていたんですか?

西井:2004年の頃は、当時ちょうどSEOのはしりだったので、人気のバラエティ番組で「コエンザイムQ10」が取り上げられる、と知った瞬間にSEOを徹底して、商品をがっと仕入れて放送の瞬間から売っていく、みたいな。

 ところが、メーカーに転職してからは、まずは自分たちで商品の売り方を考えなければいけない。商品のUSP(Unique Selling Proposition)を考え、ディスプレイ広告やアフィリエイトまで、全体の広告ポートフォリオを考え展開する。売れ筋を見つけて仕入れればいい小売業とは違って、メーカー通販だと自分たちで売らないといけないから、緊張感がありましたし、この考えの転換はすごく身になりました。

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顧客基盤ができるとリピートビジネスは跳ねる

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この記事の著者

西口 一希(ニシグチ カズキ)

大阪大学経済学部卒業、プロクター・アンド・ギャンブル・ジャパン(P&G)マーケティング本部に入社。ブランドマネージャー、マーケティングディレクターを歴任。ロート製薬 執行役員マーケティング本部長として「肌ラボ」「Obagi」「メラノCC」「デオウ」「ロート目薬」などの60以上のブランドを統括。ロクシタンジャポン代表...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

高島 知子(タカシマ トモコ)

 フリー編集者・ライター。主にビジネス系で活動(仕事をWEBにまとめています、詳細はこちらから)。関心領域は企業のコミュニケーション活動、個人の働き方など。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2019/07/11 17:43 https://markezine.jp/article/detail/31299

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