顧客データ統合し次世代CRMの実現を目指す
齋藤:より良いコミュニケーションをお客さんと取ろうとする中で、データ活用の重要性はこれから増す一方だと思います。どのような取り組みを考えていらっしゃいますか。
藤原:今はまだ店舗における行動データが取れていないのが課題になっています。なので最初のステップとして、アプリの会員証を作り、店舗と電話とWeb上の顧客データ統合を行わなければならないと考えています。
その次に、お客様にどのタイミングでどんな商品を提案するかを、購入ベースでできるところまでやったら、普段の自分では買わないような商品の提案というのも行っていきたい。それにはAIを使わないと難しいかとも思っていて、どこまでできるのかを相談しているところです。
リコメンドや個客軸での売上予測といったCRMを本気でやろうと思ったら、店舗やEC・電話といった横のデータをちゃんとつなぎ合わせていないといけませんし、購買したかどうかだけでなく、サイトへの来訪頻度や、こちらが送った情報への接触・非接触まで見ないとわかりません。
本当は、店頭の入り口まで来た人なのか、中まで入ったのか、試着室までいったのかまでデータを取って提案につなげられたら究極的かなと考えているんです。
膨大なマルチソースデータを活用できるマーケターを育成するには?
齋藤:今までのお話の中で、テレビCMからデジタルまで、コミュニケーションの一連の流れをお聞きしましたが、そこから生まれてくる膨大なデータをベースにロイヤリティを高めていこうとする中で、補助するツールはたくさんあると思うのですが、実際にそれを進めていくマーケターの育成ってすごく難しくないですか。
藤原:色々な考え方があると思うのですが、僕は「人を育てる」という考えはおこがましいと考えているんです。経験から言えば、自分の仕事を一緒に横でやってもらう以外ないと思う。
僕らがデジタルをやり始めた頃はやったもの勝ちなところがあったけど、今は手法がありすぎてその中から組み合わせてオリジナルのものを作っていかないといけない。僕自身必死にやっているぐらいなのに教えるのは難しいですよね。
それと、マーケターにはマーケティングスキルと同じぐらい、調整能力や意思決定力が必要だと思うので、そうしたことも一緒に仕事をする中で伝えてあげないといけないですしね。
齋藤:ツールを使いこなせている人がすごいマーケターみたいに捉えられることもあると思いますが、それは全然違っていて、そのツールによって生まれることの道筋を作ってあげて、運用する人は誰でもいいみたいな世界じゃないと回らないと思っています。
デジタルマーケティングのテクニカルな部分はある程度アウトソースしてしまって、クリエイティブや戦略、ブランドと顧客の関係性を築いてつなげるためにできることを考えられるような環境を整える部分に頭を使えるような環境を整える必要性を考えていただきたいです。
多分予測と分析は、どんどんコンピューター側に任せていって、それをもとに仮説を作るところを人間がやっていかないといけないのかなと思いますね。
藤原:過去やったこと、誰かがやった施策のデータってほぼ使えないんですよね。結局新しいものを作らないといけないから、そのときに過去の数字だけ見てもできなくて、ほぼ仮説ベースで思い切ってやる部分も大きい。
だって突然2万4000枚しか売っていないマジカルサーモを18万枚売れって言われましたもん(笑)。そんなの過去の実績だけで判断したら無理だと思うじゃないですか。そこは腹括らないといけないし、そういうときに僕は、こんな世界観を作ったらその数が作れるかもという予測から逆算して、そう言える根拠作りのためだけに過去のデータを持ってくるみたいなやり方をするのですが、そういう感覚も一緒に仕事をやってみて覚えていくものではないでしょうか。
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