※本記事は、2019年7月25日刊行の定期誌『MarkeZine』43号に掲載したものです。
サブスク経済の潜在的規模は800億ドル
「ワールプールの白物家電からフォード車、キャタピラーの重機に至るまで、およそすべての物理的な商品は買い切りから『サービス』に移行するだろう」こう断言するのは、サブスクリプション・ビジネスを展開する企業向けに、請求業務処理や収益管理の自動化をクラウドベースのサブスクリプションで提供する米Zuora(ズオラ)創業者兼CEOのティエン・ツォ氏だ。
事実、サブスクリプションはすっかり米国人の生活に根付いている。米ファスト・カンパニー誌によれば、米国では2018年10月時点で、前年比40%増にあたる約3,500種類の「サブスクリプションボックス」サービスが展開されていると言う。
サブスクリプションボックスとは、定額料金を支払うことで、ユーザー毎にセレクトされた商品が定期的に届くというサブスクリプションのビジネスモデルの一つで、米国で特に人気を集めている形態だ。ユーザー毎に入っている商品が異なることから、「自分へのプレゼントが届くように感じる」「毎回、新たな出会いができる」と人気の同モデルは、今後、食品、化粧品、ペット用品、アパレルなど、領域を広げてさらに成長していくだろう。
米コンサルティング大手のマッキンゼー・アンド・カンパニーが2018年2月に発表したサブスクリプションに関する調査報告によると、サブスクリプションボックスの利用者は回答者全体の15%だったのに対し、動画や音楽ストリーミングなどのメディアサブスクリプションはさらに市場規模が大きく、全体の46%であったという。特筆されるのは、全体の51%がサブスクリプションをまだ利用していないということ。市場全体にまだまだ伸び代があるのだ。
米サブスクリプション市場の規模は、2011年に5,700万ドル程度だったが、2016年には26億ドルまで成長している。ズオラのツォCEOは、「サブスクリプション経済の潜在的規模は800億ドルだ」と主張している。一方、日本のサブスクリプション市場は2018年時点で約5,620億円、2019年には6,480億円まで成長する見通しだ(矢野経済研究所調べ)。