Patheeの原嶋宏明氏が業界キーパーソンを訪ね、「リアル店舗におけるデジタル施策」や、これからの「リアル店舗の役割」について意見を交わしていく本連載。今回は、おしゃれで高品質なスーツをリーズナブルな価格で提供するTHE SUIT COMPANY 細山清孝氏の元へ。アバターによる「バーチャル試着」など、店舗へのテクノロジー導入にも積極的な同社の取り組みを取材した。
おしゃれで高品質なスーツをリーズナブルに
原嶋:本日は、青山商事から生まれたスーツブランド「THE SUIT COMPANY(以下、スーツカンパニー)」の戦略についてお伺いしていきます。スーツカンパニーさんは「おしゃれでリーズナブルなスーツ」を取り揃えており、かつ駅前など、“寄りやすい場所”に店舗を構えていますよね。また、ECにも注力されています。理想の購買フローとしては、どのようなものを描いているのでしょうか?
細山:一口にスーツと言っても、当社では多種多様なサイズ・カラーバリエーションを揃えています。全28サイズを展開しており、さらにそれぞれのサイズに対し10の型紙を用意しているので、ほとんどの体型に合わせられますし、「タイトに着たい」「ゆとりをもって着たい」など、お客様の好みに合わせたフィッティングを提供できます。お客様がスーツに求めるものや用途は様々で、購買までのプロセスも多岐に亘ります。
そのため、単一のカスタマージャーニーを引いて、いかにその道筋をたどってもらえるかという考え方はしておらず、どのようなプロセスをたどっても満足いただけるようにしたいと考えています。お客様一人ひとりのニーズにしっかり応えつつ、プラスアルファのホスピタリティを提供して感動していただけるような購買体験が理想です。
原嶋:そんなにサイズ展開があると、店頭在庫数もかなりの規模になりますよね。
細山:そうですね。店頭在庫は常時1,500~2,000着ほどで、その在庫を保管するために、1店舗あたり100~150坪ほどの広さを確保しています。ただ、それほど広い面積だと、駅前の好条件の土地が確保しづらく、出店できるエリアがかなり限られています。そこで、一部店舗では在庫量を縮小し、削減した在庫はECで補完することにしました。
店頭の在庫問題を解決するため、ECを活用
原嶋:店頭でフィッティングしていただき、在庫がなければECで購入するという流れにしたのですね。ECは店舗の売上を補完する以外にも活用されていますか?
細山:EC上でのコンバージョンだけでなく、多数ある商品を閲覧していただくためのカタログ的な役割も持たせています。
原嶋:一覧にして見ることができるので、商品を選択する場としてもECは最適ですよね。一方で、「店舗における体験」も重視されているということでしょうか?
細山:そうですね。店舗はブランドを体験し、商品の良さを実感してもらえる場として捉えています。あとは、集客装置としても機能させています。交通量の多い一等地に店舗を建てることで、マス広告を打たなくても来店数を確保できる状態にしているのです。
原嶋:青山商事の主力ブランドである「洋服の青山」ではマス広告を大々的に打っている印象ですが、戦略が大きく異なるんですね。
細山:実は、スーツカンパニーは「洋服の青山」を否定して立ち上げたブランドなんです。洋服の青山でやっていなかったことをすべてやってみようというコンセプトのもとブランドが設立されました。
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- この記事の著者
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水落 絵理香(ミズオチ エリカ)
フリーライター。CMSの新規営業、マーケティング系メディアのライター・編集を経て独立。関心領域はWebマーケティング、サイバーセキュリティ、AI・VR・ARなどの最新テクノロジー。
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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