事業別でも機能別でもないハイブリッド組織に
【リクルート】
現在のマーケティング部門の組織体制
各事業部にマーケターが分散して在籍していましたが、2016年よりデジタルマーケターを集結させる組織体制へと変更してきました(現在約150名が所属)。人材、情報、知見の流通を100以上の事業があるリクルート全体で行えるようになったので、会社、各マーケターの双方にメリットがある状態になったと思います。直近、マス広告部門も合流を始めています。ここで重要なのは、単純な横断機能組織ではダメだということ。事業から遠ざかり社内代理店・社内コンサル的になってしまうデメリットも同時に発生するためです。これを防ぐため、事業部型でも横断機能組織型でもない「ハイブリッド型」を採用しました。
他部門やパートナーとの関係構築のコツ
二つあります。一つは、同じ目的、KPIを持てる相手であること。CPAを改善して広告費を下げたい広告主と、売り上げのために広告費を上げてもらいたい広告代理店では利害が一致せず上手く行きませんよね。共通のゴール設定が重要です。もう一つは、担当者をバイネームで把握すること。「どのパートナーが優秀ですか?」と聞かれることが多いですが、担当者の力量差に依存するのが実態で、その見極めが重要です。この二つは社内でも社外で同じですね。そのためには深くてオープンなコミュニケーションが可能な関係性が必要です。

執行役員 塩見 直輔氏
1980年生まれ。岡山県岡山市出身。出版社での編集職から、2007年にリクルートに中途入社。マーケティング担当執行役員として、リクルート全事業のネットマーケティングとブランドマーケティングを統括する。リクルートテクノロジーズ執行役員として、プロダクトデザイン(UI/UX)も統括。
デジタルはアーティスト横断の組織に
【ワーナーミュージック・ジャパン】
現在のマーケティング部門の組織体制
弊社は音楽レーベルなので、所属アーティストの作品およびアーティスト自身をプロダクトとみなし、アーティストごとに担当を決めています。各アーティストのマーケターはATL(4マス広告)もBTL(4マス以外の広告+ネット広告)も含めてプランニングを行っています。ただし、SNSや新しいデジタルプラットフォームについては専属の担当者を置き、アーティストをまたいで施策を検討する体制としています。マス広告の出稿機会は少なく、よりデジタルに寄せていくような動きをしており、その中で音楽業界外のデジタルマーケティング人材を確保し、ファンとのリレーションシップマネジメントまで実施できる体制を構築していきたいと考えています。
他部門やパートナーとの関係構築のコツ
エンターテインメントビジネスは、プロダクトが『コンテンツ』であるため、そのコンテンツ自体に対して精通している、あるいは好きでいるという姿勢が非常に重要です。パートナー選定にあたってもエンタメ自体、そしてプロダクトに対する理解が深いことを重視します。媒体選定やクリエイティブの内容についても定量的なバックアップデータ以上に定性的な知識が活きてくることが多いです。また他部門との関係構築においてもアーティストやジャンルへの深い知識や関心があると、円滑に進むことが多いと感じています。

邦楽デジタルマーケティンググループ
ディレクター/マネージャー 栗田 慎太郎氏
2007年博報堂入社。様々な企業のデジタルとマスを統合したキャンペーンやグローバルマーケティングに従事。2013年に退職した後は、LINE、テレビ朝日、アマゾンと複数のコンテンツ・メディア企業にてデジタルビジネスの開発およびマーケティングを実践。現在は、ワーナーミュージック・ジャパンにてデジタル事業を率い、「音楽ストリーミング」でのヒットを作るための仕組みの構築に取り組んでいる。