マーケティング機能別のチーム体制
【ニューバランス ジャパン】
現在のマーケティング部門の組織体制
約30名で、マーケティング機能別のチーム体制となっています。ブランドのビジネス領域が拡大するにしたがって、マーケティング組織も規模が大きくなり、業務が複雑になってきました。そのため、ここ数年はチーム体制も試行錯誤しつつ変化させてきています。特にデジタルマーケティング領域は予算の比重が高くなり、オフラインでのマーケティングを含めた統合型のマーケティング活動が増えているものの、そのぶんデジタルチャネルにおけるマーケティングを俯瞰して捉えることが困難になりつつあることが課題です。
他部門やパートナーとの関係構築のコツ
ブランドがターゲットとする顧客とそのコミュニティの特性から、顧客のライフスタイルと文化を肌で理解しているかどうか。そして、その顧客のインサイトからブランドのユニークさを顧客と結びつけるクリエイティブおよびマーケティングのアイデアを実現できるかどうかを重要視しています。その他にも、デジタルをはじめとするメディア接触や購買行動のカスタマージャーニーを把握し、適切なタイミングとタッチポイントでブランド体験を設計できること、活動に関して定性的および定量的に結果を把握し、その分析から次のアクションを検討できるデータ分析スキルと提案力を持っていることも重要ですね。

DTC&マーケティング ディレクター 鈴木 健氏
1991年広告代理店の営業としてスタートし、I&SBBDOでストラテジックプランナーを経て消費財メーカーのマーケティング企画および調査を担当。2002年ナイキジャパンでナイキゴルフの広告を担当し、ウィメンズトレーニングのブランドマネージャーを経験。2009年にニューバランスジャパンに入社し、PR、Webおよび広告宣伝、販促活動全般を手掛ける。2017年より直営店およびEコマース事業も統括。
ブランド単位でメディアプランニングを担当
【ネスレ日本】
現在のマーケティング部門の組織体制
ネスレ日本では、媒体統轄室がメディアのプランニングを担当しており、マスメディアとデジタルメディアの両方をカバーしています。組織は少人数で、担当者の領域はメディアごとではなくブランドごとに分けています。その理由は2つあります。1つ目は、お客様視点でメディアのコンタクトポイントを考えると、マス、デジタル双方で態度変容を起こしている可能性が高く、統合的に考える必要性があるためです。2つ目は、人材育成の観点です。メディアプランナーとして、マスとデジタルの両方を担当することが、経験や知識の広がりにつながると考えています。
他部門やパートナーとの関係構築のコツ
媒体統轄室は、各事業部からメディア予算を預かって運用するファンドマネージャーのような役割のため、各事業部を顧客と捉えています。関係構築においては、マーケターのインサイトを正確に捉えること、メディアのプロとして、期待以上の質と速さで対応することを心がけています。そのためにもパートナー様のサポートが必要で、同じKPIを持ってPDCAを回しています。パートナー様を選ぶ際は、サービスありきでなく、ネスレの顧客の課題を捉えようとしているかどうか、その課題に対して、チャレンジを一緒にしてくれるかを重要視しています。

マーケティング&コミュニケーションズ本部
媒体統括部 媒体統轄室 マネージャー 村岡 慎太郎氏
2003年にネスレ日本入社後、コーヒー豆の買い付けに従事。その後、資材・物品サービスのバイヤーを経て、デジタルの重要性を感じ、2012年よりデジタル開発ユニットにて、新規デジタルメディア開発に従事。2015年1月より媒体統轄室に異動。ネスカフェアンバサダー、キットカット、ネスレ通販などの“オンライン・オフライン”のメディアプランを担当し、現在、媒体統轄室マネージャー。
デジタルで中央集権から各カンパニーのバイイングに
【パナソニック】
現在のマーケティング部門の組織体制
パナソニックは社内カンパニーごとにマーケティング部門があり、国内だけでもそれぞれ数百から数千人単位の人員が協働しています。広告宣伝においては、各事業領域の発信についてはカンパニーが主体、コーポレート発信はブランドコミュニケーション本部が行っています。メディアのバイイングはブランドコミュニケーション本部がセントラルで行っていますが、デジタル運用型広告は、各カンパニーの独自バイイングにシフトしてきているのが現状です。「マス広告の部隊の中にデジタル部隊を配置」から「デジタル部隊の中にマス部隊を配置」と逆転し始めている部署もあります。
他部門やパートナーとの関係構築のコツ
当社は「宣伝広告は企業の社会的義務」というポリシーを貫き続けています。民間企業と言えども社会の様々なリソースを預かって社会に資する営みを行う以上「社会の公器」であり、メーカーとして人々のくらしに役立つ商品を作ったならば、それをお伝えすることまで責任があるという考え方です。この考え方や意義に共鳴いただけるかがパートナーに求めるポイントとなります。また、当社は多くのパートナーに支えられて宣伝活動を行っていますが、社員が活動主体という意識を強く持っています。今後より柔軟な外部との連携が必要となっていくと思いますが、コアなポリシーは変わりません。

ブランドコミュニケーション本部宣伝部 部長 丸山 哲朗氏
1986年パナソニックに入社し家電営業本部に配属後、東北支店、洗濯機事業部、電化・住設社、ナショナルマーケティング本部のチームリーダーを経て2010年にLE北海道・東北社の社長に就任。その後2013年にコンシューマーマーケティングジャパン本部のロジスティクスグループマネージャー、パナソニックサイクルテック社長を経て、2017年より現職。