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統括編集長インタビュー

スマートニュース西口氏が退任 顧客起点をさらに追求し、マーケティングと経営の一体化実現に挑む


すべてはたった一人の顧客理解からはじまる

── 9月1日からはマーケティング戦略顧問として引き続き関わるそうですね。どのようなことに挑戦していきたいですか。

 8月末でスマートニュースを退社し、ビジネスコンサルティング支援や投資活動を行っている株式会社Strategy Partnersという私の会社との契約になります。出勤時間が限定されますが、マーケット変化を客観的に捉えて、よりリアルタイムで顧客起点に立ち、柔軟に戦略・企画の策定と変更スピードを上げていきたいと思います。雇用形態は変わりますが、プロとしてスマートニュースの成長へのコミットメントは変わりません。

 またこの2年で、デジタルやアプリ分野のビジネスやマーケティングにおける新しい知識や経験を吸収できたので、これまで以上に成長できていると自負しています。私自身2年前よりも、高いパフォーマンスが可能になっているはずであり、より短時間で、高いビジネスインパクト生み出すことができると信じております。並行して、スマートニュースとは競合しないカテゴリーにおいてコンサルティング業務や投資および新規事業の立ち上げに注力していきます。

── マーケティングを経営ごとにするために、日本のマーケティングの課題をどう支援していきたいとお考えですか。

 経営層が売上利益を中心としたファイナンス指標に忙殺されて、顧客からますます離れてしまっているように感じます。今日の売上が、何人の、どのような顧客によって、どこで、どんな目的で、どのように購買されたかの現場感覚、顧客感覚がもはやなくなっているのではないでしょうか。またデジタル分野を中心に様々な手技手法が開発され、一つひとつを理解する時間のない経営層はますますマーケティングから遠ざかり、経営とマーケティングの乖離は大きくなっています。

 書籍を出版させて頂いてから、多くの経営者やマーケティング責任者の方々とお話しする機会をいただいております。共通課題は、そもそも顧客理解のための調査設計を外部に丸投げしてしまっていることにあると感じます。

 設計自体が間違っているため、結果が出ても何のアクションも打てていない場合が多いです。もしくは、そもそも顧客理解自体をまったく行っていない。本来、会社組織を一体化させ、共通のビジネス運営基盤となるべきは顧客の動態(人数と購買行動と意思)です。

 このような課題解決のために戦略的な調査設計を行い、ブランドごとに顧客分析を行うサービスを提供するマーケティングフォースという会社を共同創業しました 。マーケティングと経営の一体化が可能になる「顧客起点のマーケティング」により、素晴らしいプロダクトやサービスのポテンシャルを最大化することができるようになります。

── 西口さんのようなキャリアを積みたいと考えている、若い現場のマーケターへアドバイスをいただけますか。

 「具体的に存在する誰に、どんな独自性と便益を提供するのか?」。この質問からすべてを始めていただきたいです。朝起きて働く前に、会議の前に、メールを書く前に、分析をする前に、上司と話す前に……マーケターの仕事は、新しい価値の創造・需要を創出し、届けることです。それは、知らない誰かのためであってはならないのです。マーケター自身が認識できる具体的な人物像があり、その方に向けてすべての仕事が始まり、その方の驚きと喜びで、マーケターの存在価値が決まるのです。

 色々なマーケティングの手技手法の勉強も大切だと思いますが、すべては、一人の顧客のためにマーケターは存在するのです。そこを起点にすることで、結果としてマーケターが身につけるべき知識や経験が積み上がり、自分自身が積極的に求めはじめます。そうして「学ばなければならないこと」という意識ではなく、「学びたいこと」という当事者意識に変わり、忙しくも充実したキャリアにつながっていくと強く信じています。

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この記事の著者

押久保 剛(編集部)(オシクボ タケシ)

メディア編集部門 執行役員 / 統括編集長

立教大学社会学部社会学科を卒業後、2002年に翔泳社へ入社。広告営業、書籍編集・制作を経て、2006年スタートの『MarkeZine(マーケジン)』立ち上げに参画。2011年4月にMarkeZineの3代目編集長、2019年4月よりメディア部門 メディア編集部...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2019/08/27 18:58 https://markezine.jp/article/detail/31845

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