CDP導入時、継続性を担保できる体制づくりを意識せよ
CDPの導入において、特に意識したのがナレッジトランスファーです。導入したものの運用に乗らずにコストだけかかって暗礁に乗り上げたり、担当者の変更により業務が止まってしまうといったバッドシナリオを避けるために、内部のリソースでもしっかり継続性を担保できる体制を整えることが必須です。外部パートナーに丸投げするのではなく、SQLをはじめとした技術トレーニングを通じて、スキルトランスファーの要素を組み込む形でプロジェクトは進行していきました。
その結果、徐々に社内で使われる共通言語が確立されていきました。たとえば、今では何か数値に変化があったり、アドホックで分析する必要があった際でも、社内の担当者が考え、自主的に実行できるなど、様々な変化が起きています。

顧客を知ることはビジネスの生命線、そのためにはデータの力が必要
先ほども述べましたが、WOWOWは有料会員による月額課金(サブスクリプション)ビジネスモデルをとっています。経営戦略のほとんどは「会員をいかに増やして、いかに減らさないか」に集約されます。一方で、多角化していくチャネル戦略によって、有料放送の会員情報のみならず、視聴ログ、Webサイトのアクセスログなど、WOWOWの持つプロパティには日々様々なデータが蓄積されています。
そのため蓄積されていくデータは、ユニークな会員IDをキー項目として集約し、CDPを利用して分析していくことになります。加入者や解約者のパス分析、行動パターンによるクラスタリングなどの分析結果が、その後の施策へフィードバックされていきます。WOWOWのカスタマーサポートやデジタルマーケティングを担うWOWOWコミュニケーションズ(以下、WOWCOM)の横関氏は、当時を振り返り、下記のように語ります。
「我々のような会員制のサブスクリプションサービスにとって、視聴者である会員ユーザーの皆様を深く理解し、ご利用の満足度を上げていくことが、ビジネスの成長に直結します。お客様を理解し、そのうえで魅力的なコンテンツを創り出すためには、これまでの努力に加えて、データの力を活用しなければいけません。そこで、お客様の様々なデータを統合的に分析するCDPの活用が急務でした」(横関氏)