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MarkeZine Day(マーケジンデイ)は、マーケティング専門メディア「MarkeZine」が主催するイベントです。 「マーケティングの今を網羅する」をコンセプトに、拡張・複雑化している広告・マーケティング領域の最新情報を効率的にキャッチできる場所として企画・運営しています。

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MarkeZine Day 2019 Autumn

シャトレーゼ、森美術館、ロクシタンが語る SNSコミュニケーションで大切なこと

売上というKPIとそこに結びつくUGCの創出による来店促進

岩井:シャトレーゼのSNS運用のKPIは店頭売上です。売上に直結していないと会社としては続けさせてくれません。

 少し背景から説明させてください。そもそものSNS運用開始のきっかけは、まだ公式アカウントもなかった2017年4月に、一般ユーザーの方の「シャトレーゼがあるのは田舎?」といったツイートがバズり、自然発生で「シャトレーゼ」がTwitterのトレンド1位を取ったことでした。このときに来店データを分析したところ、うちが弱みとする若年層の来客数が増えていることがわかりました。それまでの集客手段としては新聞折り込みのチラシがメインだったので、正直なところ若い世代にリーチできていませんでした。SNSの可能性を感じて、2017年8月にTwitter公式アカウントをスタートしました。

 KPIは売上ですので、いかに店頭に引き込めるか、来店促進につながるかということが問われます。我々が扱っているケーキやアイスといった商品の特性を考えると、UGCを創出し、指名検索数を獲得していくのが良い方法ではないかと考えました。そのための施策として「質の高いフォロワー集め」「エンゲージメント率を高めるオーガニック運用」「UGCを生み出すアカウント運用」の3つを行っています。約2年間でTwitterのフォロワー数は20万人に達し、口コミ数やUGCの数も増え、広告費としては毎月数十万円しかかけていないわりには、頑張っているほうかなと思います。

 Twitter経由で直接的にいくら売上が上がったかということを計測する仕組みはありませんので、Twitterでの言及数と昨対比売上が相関していることを確認するようにしています。特にUGCをこちらから仕掛けたときは、ちゃんと数字が上がるという連動が出ているので、UGCをしっかりやっていくと売上が変わっていくという手応えがあります。

シャトレーゼのTwitter言及数と昨対比売上の相関関係
シャトレーゼのTwitter言及数と昨対比売上の相関関係

ロクシタンのLINE公式アカウント経由での売上可視化

岩井:売上との相関関係を可視化するのは難しいことだと思います。そこで安倍さんに伺いたいのは、LINEはどう売上に寄与しているのかということです。KPIや効果測定はどうされているのでしょうか?

安倍:LINEについては、ECと実店舗両方の売上への効果可視化を最初から目標としていました。ECの場合はダイレクトにリンクが取れますが、実店舗については、LINEの配信にキャンペーンコードなど毎回何かしらのインセンティブをつけ、それを見せて購入してくださった方をずっとトラッキングし続けてきました。それらの結果と、そのうち新規顧客は何%かを毎月レポートにし、社内にLINEの効果を啓蒙しています。経営層だけでなく店舗にもフィードバックしていて、今は店舗から「LINEでこれをやってほしい」という声が上がってくるようになりました。他にInstagramは「いいね」数をKPIにしているので、エンゲージメントの高まるクリエイティブに注力しています。

ロクシタンはLINE上のメンバーズカードを8月にリニューアル。スタンプラリー機能やクーポン提供機能を追加した。
ロクシタンはLINE上のメンバーズカードを8月にリニューアル。スタンプラリー機能やクーポン提供機能を追加した。

岩井:洞田貫さんのほうではどうでしょうか?

洞田貫:森美術館は3、4ヵ月ごとに企画展が切り替わるので、その都度コンテンツが、総替わりします。いわば3、4ヵ月ごとに商品が変わって新装開店しているようなものです。そのため、過去の実績との純粋な比較はなかなか難しいのですが、担当者として、来館動機の中にも見えてくるSNSの発信力を高めていくこと、その実績を重ねていくしかありません。そこで、会期スタートから会期末までに投稿ごとのインプレッションを取り、どの時期の投稿が効いたのか分析をしながら、合計どのくらいインプレッションがあったかをきちんと報告しています。

森美術館の投稿ごとのインプレッション数
森美術館の投稿ごとのインプレッション数

岩井:成果はインプレッションで見られているのですか?

洞田貫:社内向けには、とにかくわかりやすい数値で伝えることが重要だと思っています。また、SNSはマイニングができるのも良いところで、開催前の投稿で「いいね」をしてくれたのがどんな人か。たとえば、ファッション系をフォローしている方が多いとか、音楽系をフォローしている方が多いとか。それに基づいて、次はこういう方向性、こういうターゲットに展開する、というような細かな方針を部内に共有しながらやっています。

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UGCを介してデジタルネイティブ世代とコミュニケーション

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この記事の著者

平田 順子(ヒラタ ジュンコ)

フリーランスのライター・編集者。大学生時代より雑誌連載をスタートし、音楽誌やカルチャー誌などで執筆。2000年に書籍『ナゴムの話』(太田出版刊)を上梓。音楽誌『FLOOR net』編集部勤務ののちWeb制作を学び、2005年よりWebデザイン・マーケティング誌『Web Designing』の編集を行う。2008年よ...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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MarkeZine(マーケジン)
2019/11/05 08:00 https://markezine.jp/article/detail/32075

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