UGCを介してデジタルネイティブ世代とコミュニケーション
岩井:では、デジタルネイティブとどうコミュニケーションを取っていくかについて。シャトレーゼでは、デジタルネイティブ世代とのコミュニケーションで特に気をつけているのは、いかに承認欲求を満たしていくかということです。公式アカウントとつながったり、リツイートされたりするとユーザーさんも喜んでくれるというのが見て取れたので、そこは強く意識しています。
UGCを増やすために、トレンドを追って、きっかけとなるユーザーが真似したくなる話題性のある企画で投稿を行います。質の高いUGCは公式アカウントでリツイートします。すると、投稿のエンゲージメントが跳ね上がり、ユーザーの承認欲求が満たされ、また投稿したくなるという流れです。

洞田貫:森美術館は国内の美術館の中でも先駆的に2009年頃から、展示室内をできるだけ写真撮影を可能にする努力をしてきました。様々な意図があってそういう試みをしているのですが、来館者に一般的な美術鑑賞だけではない体験を提供することができますので、「来て良かった」、「凄い作品だった」などとデジタルで発信してもらえるようになります。「公式は良いことしか言わない」と思っている若い人はその口コミを見て判断されることが多いので、UGCはとても大切です。
安倍:デジタルネイティブ世代とのコミュニケーションで大事なのは「共感」だと思っています。たとえば、Instagramでは、「共感画像」と呼ぶものを投稿しています。グローバル企業なので、グローバルで提供されたものを投稿しつつも、それに加えて日本のユーザーさんにいかに刺さるかということを考えた画像をローカルで撮影し、文面もユーザーの共感を得るものを投稿するようにしています。

キーワードは「共感」
岩井:共感画像とは、どういったものなのですか。
安倍:ブランド発信のキービジュアルとは別の、UGCで撮られたような画像ですね。実際に、20代の女性スタッフが、その人がいいなと思う目線で撮っています。
洞田貫:うちもきちんとしたカメラで撮るより、スマホでぱっと撮ってインスタに上げたほうが、「いいね」が多かったりしますね。
岩井:うちもそこは同じですね。以前、Instagramは広報の部署が運用していて、チラシと同じ画像を載せていました。でもそれではダメだと思って、うちの部署で運用をするようにしてからは、20代のスタッフが自分のスマホで撮ったものを載せるようにしています。そうしたら、1投稿で300〜400の「いいね」が付くようになりました。
各社さんのお話をうかがってみると、デジタルネイティブ世代とのコミュニケーションには、「共感」をキーワードにいかに目線を合わせていくのかが大事なのかなと思いました。ありがとうございました。