データからニーズを読み解き、”課題解決型”のマーケティングを
齋藤氏は最後のトピックとして、味の素、花王をはじめ様々な企業のマーケティングを支援してきた経験から、これからのマーケティングに必要な視点について述べた。
「ユーザーがクックパッドに求めている情報とは何か。私たちはレシピサービスですので、調理に紐づく調味料や食材などの情報はもちろんですが、それだけではありません。
昨今の世帯構成の変化や育児・家事への時間確保への難しさから、調理の周辺に位置づくより広い領域に関して、課題や悩みを解決する情報も求められるようになっています。たとえば調理家電やキッチン周りの製品に関する情報を、シーンに応じて伝えることで、購買へのインパクトを創出できるのです」(齋藤氏)

ユーザーがクックパッドに求める情報の変化を踏まえて、齋藤氏はマーケティングには「課題解決」がますます強く求められていると主張した。
「これまでのマーケティングは、『商品の価値をどのように伝えればよいか』『どんな食べ方を伝えれば、需要が喚起できるか』に重点を置いていました。これに加えて現在求められているのは、課題解決の視点です。
ユーザーがどんな課題を抱えているのか、どんなニーズをもっているのか。データから提案余地の大きいセグメントを見つけ出し、人やニーズ視点で訴求することが重要です。そこに商品の価値を重ね合わせることで、的確な訴求ができるのではないでしょうか」(齋藤氏)
ニーズ視点で商品を分析する例として、齋藤氏はクックパッドの2017年のトレンド大賞「チーズダッカルビ」を紹介。チーズダッカルビは、韓国料理店で発売されたことがきっかけでブーム化し、自宅でも同じような味を再現したいというユーザーによるメニュー検索が増えた。
そんな中、急に検索数が増えたキーワードがあった。「焼き肉のタレ」だ。コチュジャンなど韓国料理の調味料の代用品として利用されていたそうだ。また、レシピ投稿者のコメントやレビューなどを深く分析することで、「辛すぎないため、子どもも食べられる」という価値も浮かび上がった。
齋藤氏は「モノが溢れている時代でも、『課題解決型』の発想を取り入れることで、トライアル層を増やすとともに、ロイヤルカスタマーを育成していくためのヒントが見つかるはずです」と述べ、セッションを締めくくった。